2010年6月16日水曜日

岡田ジャパンが漂い着いたところ

カメルーン戦での勝利は世界中に衝撃を与えました。海外のメディアは「今大会初、且つ、最大級の番狂わせ」と伝えています。一方で、ゲーム内容については、「日本のプレーはよくなかったが、カメルーンよりはましだった」(オランダ・テレグラフ紙)、「なまぬるい試合」(BBC電子版)と手厳しく、オールドファンには懐かしいドイツの天才MFネッツアーは「今大会ワーストゲームであることを祈る」とコメントしています。世界に驚きを与えたのは、日本の勝利という結果であり、そのプレーは必ずしも称賛されてはいません。阿部がつぶやいたように「我々はまだ何も成し遂げてはいない」のです。カメルーン戦での勝利をもたらした守備的ゼロトップ布陣での戦いというのは、岡田ジャパンが漂流の末に流れ着いた南洋の無人島であり、決して目的地ではないということをもう一度認識する必要があります。「十五少年漂流記」という児童文学を昔読んだ人は多いと思います。無人島に漂着した15人の少年たちが数々の困難を乗り越えながら、逞しく成長していくという物語です。岡田ジャパンも、漂流中の荒波(マスコミ・サポーターからのバッシング)にもまれているうちに団結のチカラという得難い財産を手に入れたようです。より多くの献身を要求する守備的な戦いを最後まで貫けたのも、「団結のチカラ(=チームへの信頼+チームへのコミットメント)」がベースにあったからです。そして、この団結のチカラの強さこそ、日本が世界に誇れる武器なのです。岡田ジャパンは、遠回りして、ようやくオシムの言っていた「チームの日本化」の最初の寄港地に辿り着きました。だからこそ、負けが許されるオランダ戦では、その団結のチカラをベースに、目指していたプレッシング・パスサッカーがどこまで通用するのかを試して欲しいと思うのです。
写真は、本田をヒデ2世と持ち上げるトルシエ氏。一方で、オシムは「新聞の一面がすべて本田だったら以後の戦いは危ない」と警鐘を鳴らしていました。残念ながら、試合の翌日のみならず翌々日までスポーツ紙の1面は「本田」。ただ、本田自身、ヒーローはベンチも含めた全員であることをしっかりと自覚していましたし、サポーターの多くは、松井・大久保の守備面での涙ぐましいまでの貢献、阿部・長谷部・遠藤の限界を超えた運動量をしっかりと見ています。オシムの警句が杞憂であったことを、日本代表には証明して欲しいものです。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

滋賀のKです。漂流してたどり着く先が何処になるか。オランダ戦はカメルーン戦とは少々違うフォーメーションになるようですが、それが上手く機能すれば良し、しなければ叩かれれば良し。デンマーク戦が山場、そのため数名を入れ替えざるを得ないでしょう。俊輔なのか稲本なのか楽しみにしましょう。あのスペインがスイスに完封負け。スイスの堅守は戦前から警戒されてましたが、してやったりです。日本もオランダ戦で何かやらかしてほしいものです。引き分け狙いなど器用なことは出来ないから、ポゼッションを如何に互角に持ち込めるか中盤での攻防が鍵となるでしょう。負けて元々、負けの恐怖が無ければ面白い展開が出来るのでは?