2010年2月28日日曜日

サッカー検定 - 岡田監督の大いなる誤答

2月28日、東京マラソン終盤の難所、佃大橋を、このブログでもお馴染みのDr. Steveや酒飲み仲間の女子ランナーNさんが、氷雨に濡れそぼり、脚の痛みに顔を歪めながら駆け抜けている頃、私も法政大学市ヶ谷キャンパス532教室で苦悶の表情を浮かべておりました。第2回サッカー検定。昨年行われた第1回検定の受験者は2,600人という比較的マイナーなオタク検定です。準備は万端整えていたつもりでしたが、「1948年の全国高校選手権の優勝校」までは記憶しておりませんでしたし、「ヨルダンの女子サッカー選手が身に付けた宗教的装束の名前」や「米国プロサッカーチームのスポンサーの名前」が果たしてサッカーの問題なのか疑問を抱かずにはいられませんでした。ともあれ、そこそこの出来ではありましたので、朗報を待つことにします。
実は、サッカー検定の公式テキストというのがあって、検定問題の多くが、この記載内容から出題されることとなっています。この公式テキストは、坂田久信や牛木素吉郎といったサッカージャーナリストの大御所が編集しただけあって、かなりはっきりとしたサッカー理論を展開しています。ゾーンプレスは、「戦術的にもスタミナ的にも90分間持続するのは困難なため、試合展開や相手との力量差を見極めて、柔軟に使うのが一般的だ」と断定されています。ダイレクトプレーについては、「それ以外の手段でゴールを奪うことが難しい局面で決めてこそ、相手チームに対する大きなアドバンテージになる」とし、「状況に応じて優先すべきプレーの選択肢の1つに過ぎず、かたくなに順守するべき戦術ではない」と喝破されています。
「90分間のゾーンプレスとダイレクトプレーでの突破を戦術の軸におく」という岡田監督の回答は、サッカー検定では誤答となってしまうわけです。以前のブログで、岡田監督のBest4発言は、「Best4を目指す」というよりは、「Best4のチームのサッカーを目指す」ことの宣言であると書きました(シェフパMr. Tは、ベストを尽くしてグループ4位になることと解釈しています)が、岡田ジャパンの目指しているのが未来のサッカーへの挑戦なのか、あるいは、不可能なことへの無謀な挑戦であり、大いなる誤答なのか、もう少し、考えてみたいと思います。

2010年2月21日日曜日

Project V(Go)-Shiki - 大出館墨の湯

塩原元湯温泉は、名前が示す通り、塩原温泉の発祥の地であり、一時は100軒近い温泉宿が軒を並べ、大いに栄えましたが、1659年の山津波でほとんどが埋没し、今では3軒の温泉宿のみがひっそりと山懐にいだかれたまさに秘湯の温泉郷です。天候により五色に色を変える不思議な湯質が珍重されています。
その中の1軒、大出館は、五色の湯の他に、墨を流したようにまっ黒な「墨の湯」(写真)で有名です。鉄分を多く含む温泉は、通常、赤みがかった褐色ですが、大出館の温泉だけは、黒く濁り、国内でも唯一の黒色湯とされています。湯から上がると、肌には煤をはたいたように黒い湯の花が残り、手ぬぐいも黒く染まります。体の墨は、白緑色の五色の湯で洗い落し、墨色に染まった手ぬぐいは洗わずに記念に持って帰るのが正しい入浴法といったところでしょうか。温泉マニアには、是非一度は行って頂きたい秘湯です。
今回は、いつもの3人組に、関ヶ原旅行をご一緒させて頂いたプロフェッサーK(会社の同僚の歴史・鉄道マニア)を加えたメンバーでした。当初はプロフェッサーKにちなんで歴史探索の旅ということで、温泉の前後に、小山評定や白河の関などの史跡巡りを加えた旅を計画しておりましたが、結局、宇都宮餃子と佐野ラーメンを食べ尽くす満腹ツアーとなってしまいました。宇都宮では、6軒の餃子を食べ比べました。個人的なお奨めは、中国飯店と幸楽。それから、佐野に行ったら、飯島商店の「いもフライ」は是非食べてみて下さい。オバちゃんが店先の大なべで揚げてくれるあつあつのジャガイモのフライは絶品です。今回のプロジェクト名は「五色の湯」にひっかけたものですが、「五」をローマ数字の「V」とすることで、VancouverでのVictoryを祈念する意味を込めました。ワンセグや宿の小型テレビの画面に食い入るようにして応援したカーリング英国戦の勝利は、格別でした。頑張れ!ニッポン!(岡田ジャパンも頑張れ!)

2010年2月20日土曜日

バンクーバー五輪 - 男子フィギュア

フェデリコ・フェリーニ監督の「道」は好きな映画です。アンソニー・クイン演じる怪力の大道芸人とジュリエッタ・マシーナ演じる知恵遅れの道化の少女があやなすとてももの悲しい物語です。その「道」を、テーマ音楽にのせて高橋大輔選手が見事に演じきってくれました。その表現力の素晴らしさは、スポーツというより芸術に近いものだったと思います。今季、本番では1度も成功していない4回転に挑戦した心意気がまず称賛されるべきでしょうが、それ以上に評価されるべきは、その4回転の転倒にも動揺することなく、その後完璧な演技を行ったということです。その精神力の強さには感動すら覚えました。
一方、織田信成選手。演技中舞い降りてきたのは織田信長ではなく、チャップリンだったようです。ブカブカの靴に、ほどけた靴ひもといえば、チャップリンのトレードマーク。織田選手にとっては、悔やんでも悔やみきれない、余りにも残念な符合だったのかもしれませんが、彼の演技も、チャップリンの魂を呼び込む程、真に迫っていたということでしょう。演技を止めた瞬間に、チャップリンばりに肩をすくめて苦笑いし、会場の笑いを誘うというのは、20歳そこそこの若者に期待するのは無理な相談でしょうが、織田選手には、この過酷な試練を今度は笑顔で乗り越えて欲しいと思います。「道」の劇中にこんな言葉が出てきます。「道端の小石もきっと何かの役に立つ。世の中に無用なものなどないのさ」

2010年2月14日日曜日

日韓戦 - 岡田ジャパン崩壊

日韓戦、見事な勝利でした。といっても、13日のなでしこジャパン。韓国が前掛りで来るとみると、細かなパス回しのビルトアップを省いて、前線へのロングパス。FWが鮮やかにDFの裏に抜け出して、2得点。しかも、前線からのプレスで高い位置で奪ってボールを支配します。後半になってさすがに足が止まってしまいましたが、1点差ながら計算ずくの快勝と言っていいでしょう。MVPに輝いた澤のゲームコントロールはいつもながらさすがですが、それにも増して、なでしこのチームとしての戦術理解力と実践力の高さは、フィジカルの弱さを補う強力な武器です。一方のサムライ・ブルーは、戦術の呪縛に絡めとられて、もがいた結果の惨敗でした。ファイティングスピリットに欠けていたとかいう問題ではなく、選手としては、どうして良いか判らなかったというのが正直なところでしょう。まさにこれまで築き上げてきた「岡田ジャパン」が崩壊した一戦でした。
国立からの帰り道、溜息しか出てきませんでした。岡田監督の「選手は精一杯やっている」「課題は同じだが、徐々に良くなっている」とのコメントには、指揮官に対する失望以外覚えられませんでした。ベネズエラ戦以降の4試合の低調なパフォーマンスは、チームとして危機的状況と言わざるをえません。何らかの手を打たざるをえないでしょう。この時期の監督の更迭はリスクが大きすぎますが、日本をよく知る外国人監督(というと限られますが)への交替もありうるかもしれません。とにかく、単なる1敗ではすまされない、極めて深刻な敗戦でした。
ところで、昨日13日に54回目の誕生日を迎えました。写真は娘が昼ごはんに作ってくれたオムライスです。齢を重ねる中で、若い時とは異なった喜びが生れてくるものです。感謝。その余韻で、なんとか敗戦ショックに耐えられそうです。

2010年2月11日木曜日

香港戦 - 平山効果?

香港戦。岡ちゃん、冒険はしてきませんでした。先発陣で変わったのは、故障の岡崎、長友のみ。攻撃のリズムは中国戦よりは良くなりましたが、まだまだ。玉田、大久保、闘莉王の3トップ(?)で攻撃の厚みは作ったものの、ゆったりとした内→外→後→内の単調な攻めの繰返しでは、香港の守りを決定的に崩すことは出来ませんでした。小笠原は決して悪くはなかったのですが、どことなく1、2、3、1、2、3というワルツのリズムで、どこかで意図的にスローダウンしたり、アップテンポにしたりという工夫に欠けていたようにみえました。後半、攻めに幅が出てきたのは、やはり、遠藤が前線にあがってタクトを振り出したことが大きいと思います。それを支えたバランサーとしての稲本の動きも評価されるべきでしょう。やんちゃ坊主稲本がいつの間にかすっかり大人になっていました。長谷部の存在を考えると、稲本の先発というのは難しいと思いますが、控えメンバーを含めたチームを纏める軸として欠かせない存在になる予感がします。
後半平山がトップに入って、攻撃が活性化したことは確かです。ターゲットが明確になることで、各選手の動きに連動が出てきました。また、香港のDFが平山にひきずられて、スペースも生れてきました。平山効果といえるかもしれません。ただ、平山自身は結局ゴール出来ず。ゴールエリア内で踏ん張れず、倒れるシーンが多いのが気になりました。Jリーグやアジアではある程度通じても、世界では通用しないのではないかとの不安を拭い去ることは出来ません。平山は高校時代から注目していました。2004年の高校サッカー決勝(写真)は平山自身2得点し、国見高校が6対0で圧勝。高さ、懐の深さ、クレバーさ、足元の技術。大器を感じさせる素晴らしい高校生でした。ただ、唯一、物足りなさを感じさせた体幹の弱さは、いまだに改善されていませんし、判断の遅さも気になります。残念ながら、世界で戦えるレベルにはないし、ターゲットマンという意味ではジュビロの前田を選択すべきだと思います。勿論、W杯までに怪物が覚醒してくれれば、これ程、心強いことはないのですが・・・。

2010年2月8日月曜日

東アジア選手権 - 岡田監督の苦悩

東アジア選手権初戦中国戦は、スコアレスドロー。文字通り守護神となった楢崎が試合後語ったように「負けが引分けになっただけ」の試合になってしまいました。一方、ライバルの韓国は初戦の硬さもなく、香港に5-0の快勝。これで、自国開催で優勝が至上命令の日本としては、香港、韓国に連勝するしかなくなりました。2つのユニットを試すとともに、香港戦は主力を休ませ、韓国戦には万全の布陣で臨むというプランを岡田監督が維持するのか、放棄するのか、難しい局面になってしまいました。
日本開催の公式戦で優勝するのも大事ですが、あくまで、最終目標はW杯本戦。香港戦はその過程の貴重な1戦でもあります。チームの勝ちパターンを磨いていくことも大事ですが、まだメンバーを固定する時期でもなく、より多くの選手にチャンスを与えるべき時期でもあります。特にディフェンス陣の控え組は試してみる必要がありますし、中国戦ベンチを温めた小笠原にもチャンスを与えたいところです。中国戦と同じ先発陣で香港に確実に勝ちに行くのか、リスクを冒してでも、当初プラン通りガラッとメンバーを入れ替えて臨むのか、岡田監督の決断が楽しみです。個人的には、当初プランを貫く頑固な岡ちゃんを見てみたい気がしますが・・・。

2010年2月6日土曜日

再会 - 大沢山温泉の奇跡

2月末のサッカー検定に向け、勉強中です。「1993年ドーハの悲劇」「1996年マイアミの奇跡」あたりは、今や一般常識化していますが、「1936年ベルリンの奇跡」「1985年ヘイゼルの悲劇」あたりになると、サッカーファンでも「なんだっけ」ということになるのではないかと思います。というわけで、今は、「××の歓喜」やら、「××の悲劇」といった言葉が頭の中で飛び交っており、今回のタイトルも、そんな状況で、条件反射的につけてしまったものです。もう1回大沢館での話にお付き合い下さい。

写真は、大沢館の囲炉裏部屋ですが、ここで、とても不思議な出会いがありました。昨年6月に日本最高所の野天風呂、本沢温泉雲上の湯に行きました。(ブログ2009年6月Yahoo!No.10)野天風呂で素敵なご家族とお会いしました。登山途中の入浴ということで、小さな女の子がここまで登ってきたのかとびっくりしたものでした。わずか10分程度の出会いでしたが、とても印象に残ったご家族でした。半年後の雪に埋もれた秘湯の宿。大広間の端で食事をされている3人家族のお姿にデジャヴを覚えました。そして、囲炉裏端でもう一度お見かけし、雲上の湯でお会いしたのを思い出しました。勿論、お顔を覚えていた訳ではありません。ただ、そのご一家が醸し出す何ともいえない暖かな雰囲気といったものに、とても懐かしい気持ちが湧き起ってきたのです。先方も声を掛けられて、随分驚いておられましたが、雲上の湯でお会いしたのを覚えていて頂いたようです。8歳になるお嬢さんは、本当に天真爛漫で、ご両親の愛情と大自然の恵みに育まれて真っ直ぐに成長されている感じでした。髪の毛の寝ぐせを直す為のタオルのはちまきが妙に様になっていました。
とても微笑ましい、ある種理想の家族像でした。若い頃だったら、とても羨ましく思って、ジェラシーに似た感情も起こっていたと思いますが、やり直しがきかないこの年になると、よくできたもので、自分の思いを託すような、暖かな気持ちになるものです。琥珀色が入ってきたのかもしれません。

2010年2月2日火曜日

ベネズエラ戦 - 雪ダルマがやってきた

赤道直下のベネズエラから来日した選手たちには、大分の寒さはさぞやこたえたのではないでしょうか。東京は前夜の大雪で、今朝、家の玄関先に雪ダルマ(写真)がやって来ていました。
ベネズエラ戦、雪ダルマだけに、お寒く、手も足も出なかったなどというつもりはありませんし、七転び八起きなどというつもりもありません。
そもそも、この時期の代表戦、コンディションもまだまだですし、試合勘が鈍っているのも当たり前。ましてや、代表への生残りがかかっているとなると、動きは硬くなるし、コンビネーションもままなりません。要は、期待してはいけない試合。それを締まったゲームにしてくれたのは、若いベネズエラ代表の生真面目な頑張りだったと思います。そのベネズエラも後半半ばからはガス欠状態になっていただけに、2点は取って欲しかったというのは、ちょっと酷でしょう。それでも収穫はありました。長友のスピードと強さは、日本の守備に確実に安定をもたらしていますし、平山の前線での存在感が相手の守備を崩すのに意外と有効だということ。CBの攻め上がりの際のボランチとSBのバックアップのオートマティズム。東アジア選手権を通じての仕上がりを期待しましょう。
ところで、先発の中盤のうち憲剛を除く3人、遠藤・稲本・小笠原は、99年ワールドユース準優勝の黄金世代。これに同世代のキャプテン、小野が加われば、まさに黄金のカルテットとなります。こんなちょっと遅めの初夢が現実になってくれませんかね。