2010年6月13日日曜日

サミュエル・エトー - アフリカを背負う男

南アW杯公式ポスターに描かれたボールを見つめる選手のモデルはカメルーン代表のサミュエル・エトー選手だということです。アフリカを代表する選手として選定されました。カメルーン戦を明日に控え、NHKでエトー選手の特番(サミュエル・エトー アフリカを背負う男)が組まれました。以下はそのダイジェスト版です。
カメルーンの貧民街から見出され、レアルマドリードの下部組織の一員となったエトーを待ちうけていたのは、人種差別の壁でした。十分なプレーの機会も与えられず、失意のままマジョルカに移ったエトーは、当初、孤独の中でいら立ち、ラフプレーを連発していました。そんなエトーを諭し、「ゴールを決めて自らの存在を認めさせていけ」と励ましたのは、名将アルゴネスでした。人間的にも成長したエトーは、その後、バルセロナに移籍し、スーパースターへの階段を駆け上がっていきます。しかし、ここでも、人種差別の洗礼を受けることになります。2006年2月サラゴサ戦で、サラゴサ・サポーターから、エトーに対し、悪質な人種差別的な野次が飛ばされました。エトーは抗議の為に、ゲーム中にも拘わらず、ピッチを去ろうとします。審判や同僚がエトーを押しとどめようとする中、ブラジル人のロナウジージョがエトーと行動を共にしようとします。そこに、対戦相手の黒人選手が駆け寄り、「君の行為はとても勇敢だ。しかし、ゴールを決めることで、黒人の強さを認めさせるべきだ」と諭します。ピッチに戻ったエトーは、それから数分後、右サイドを駆け上がり、見事なクロスでゴールを演出しました。
エトーの設立したサッカーアカデミーからエトー同様スペインのマジョルカに移った17歳の少年オリンガに、エトーはこう語りかけています。「ゴールは愛だ。サッカーはゴールを決めるスポーツだ。白人の中でゴールを決めることはとても価値のあることだ。」
貧民街からの脱出を目指して、家族の生活を背負って故郷を旅立ったエトーは、その後カメルーンを背負い(2006年W杯アフリカ予選最終戦でPKを外し、ドイツへの道を閉ざしてしまったエトーは、国民の失望を思ってピッチ上で号泣します。また、カメルーンでは「エトーは、我々の父であり、母であり、そして、半分神である」と言われています)、今ではアフリカを背負っています。
「あなたにとってサッカーとは何ですか?」との問いに、エトーは「義務だ」と答えています。こんなエトーが率いる不屈のライオンに対して、飽食の時代を過ごしてきたサムライ・ブルーがどう戦うというのでしょうか。NHKも罪な番組を制作したものです。運命のキックオフまであと24時間。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

滋賀のKです。昨夜の番組は意味深でした。彼は正にアフリカを背負って日本戦に臨むのでしょう。日本には韓国の勝利が良い教訓となっていると思います。韓国のフィジカルの強さや個々のレベルは違っても、組織的な守備と集中力はアジア民族の共通した利点です。CKやFKが大きな得点のチャンスであることと前線での守備から相手のミスをついての得点は今晩のゲームでも是非実現してほしいものです。さて、ベストゴールが開幕戦で出てしまいましたね。あのゴールはサッカーをする者にとっては憧れのゴールです。アウトフロントで押し出すようにボールの芯を蹴ると無回転に近い低くて強いフェードボールとなってゴールに向かいます。若かりし頃クライフが得意としたシュートでしたので朝から晩まで蹴り続けたことがあります。20年近く現役をして一度だけあれに近いゴールを奪ったことがありましたが、数日間同じ夢を見続けたことを思い出しました。彼も一生忘れ得ないゴールとなるでしょう。いざ決戦なり!