2010年6月27日日曜日

オシムの警句

カメルーン戦の後、「新聞の一面がすべてホンダだったら以後の戦いは危ない」と警鐘を鳴らしたのは、オシムでしたが、当の本田
は、舞い上がることなく、デンマーク戦でも見事な活躍と献身的な動きで、日本の決勝トーナメント進出を支えました。デンマーク戦後、オシムは、さすがに本田を称賛したものの、個人的ゲームに走っている選手がいるとして、パラグアイ戦での苦戦を予言しています。南米の雄パラグアイは、個人技・組織力を兼ね備えた好チームです。日本の守備陣は、ラテンのリズムのドリブルに苦しめられると思います。それ以上に難敵なのが、精神力の持続でしょう。レギュラー陣の体力的疲労はピークを迎えていると思いますし、精神面での緊張の持続も限界にきていると思います。この局面を打開するのが、個人の力ですが、半面、個人プレーにより築き上げてきたチームの連携が崩れてしまう危険性があります。オシムが指摘しているのはこの点でしょう。2002年W杯で決勝トーナメント1回戦での敗退を経験しているチームキャプテン川口(写真)は「あの時の失敗は繰り返さない」と語っています。当時、グループリーグを突破したトルシエ監督の「我々は目的を達成した。これからの戦いはボーナスだ」という発言は、選手たちの張り詰めていた気持ちを切ってしまい、それが、トルコ戦のふがいない敗戦の一因となったと言われています。あの時の日本代表は、一見伸び伸びとプレーをしていたように見えましたが、自国開催のプレッシャーは相当なものだったと思います。トルシエの意図は、その緊張を解いてやろうとしたのでしょうが、弛緩した闘志は元には戻りませんでした。今回は、全く期待をされずに、比較的気楽に勝ち上がってきたというところがあり、また、パラグアイ組し易しという楽観ムードがないという点、精神面でのバランスが取り易い環境にあります。また、何よりもパラグアイに勝てば、代表選手の誰もが望んでいたスペインとの対戦が実現することになります。この期待感が選手達を後押ししてくれることを祈りたいと思います。1,200mの高地での戦いは、パラグアイの方が明らかに有利。また、120分間の戦いも覚悟しなければならないと思います。総力戦に持込み、ベンチメンバーも含めた「団結のチカラ」で、勝ち抜くことを願っています。

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