2012年6月24日日曜日

Project千中(田酒)八策 その1

今年の夏の登山プロジェクトは、八甲田山に行って来ました。登山とセットになっている恒例の温泉巡りは、ヒバ千人風呂で有名な酸ヶ湯(すかゆ)温泉。総ヒバ造りの巨大浴槽に酸性度の高い青白色のお湯を湛えた風情溢れる温泉です。今回は、千人風呂と八甲田山散策がテーマということで、龍馬の船中八策をもじって命名しました。シェフパTが準備した昼食の食材は、龍馬にちなんで土佐の郷土料理、鰹飯。鰹の佃煮と刻み生姜をまぶしたご飯です。四万十川の川岩海苔も美味でした。お酒は、プロジェクト名にもある通り、青森の銘酒「田酒」の予定でしたが、高知の逸品、亀泉酒造のCEL-24(写真左。写真右は司牡丹酒造の「船中八策」)を持参しました。フルーティーでふくよかながら、キレのある「美しい」という言葉が相応しいお酒です。丁度1年前に不慮の事故で他界したM君の愛したお酒でもあります。
生憎の雨の為、八甲田山登頂は果たせませんでしたが、その分、温泉には湯当たりする程浸かることが出来、わずjかな時間でしたが、青森市内観光をすることも出来ました。最後、帰りの汽車を待つ間に訪れた「青い海公園」。京都から来たという初老のご夫婦が、アンプ付きのギターを掻き鳴らし、いわゆる路上ライブを行っていました。奥様が青森出身の方で、津軽海峡に向かって拓郎を歌ってみたかったとのことでした。「流星」をリクエストさせて頂き、暫し拓郎談議の後「イメージの詩」のフルコーラスを聴き終えてから、駅へと急ぎました。背中から僕らを送る様に「落陽」の演奏が。振り返る度に、大きく手を振ってくれて、その都度、音楽が途切れます。人生のディテールには、それ程多くは無いけれども、とてもおシャレで美しい一コマが用意されていたりします。

2012年6月13日水曜日

豪州戦 - 大荒れの因縁の対決?

両チーム合わせて7枚のイエローカード、2名の退場者。データだけみると殺伐とした「大荒れの因縁の対決」が想像されますが、汚いファウルはなく、極めてクリーンなゲームでした。この好ゲームに水を差したのが、サウジアラビアのカリル・アルガムディ主審(写真)。厳しくファウルを取ることで有名なレフェリーで、南アフリカW杯のチリ対スイス戦では、9枚のイエローカードを出し、1人の一発レッド退場者を出しています。また、今年3月23日に等々力で行われた川崎F対メルボルンのAFCチャンピオンズリーグでも、同様にイエローカード9枚、レッドカード2枚という大荒れのゲームを作り出しています。カードが続くと、どうしても「お返し」のカードを出しがちであり(内田のPKファウル)、選手も観客も過剰にカードを要求しがちになります(栗原退場のファウル)。レフェリーが大荒れの試合を自己演出してしまう結果となってしまう訳です。
そもそも、サッカーの競技規則はわずか17条。200近い項目が規定されている野球に比べ、いかにも大雑把です。ルールは選手のフェアプレー精神とレフェリーの主観に大きく委ねられています。だからこそ、毎試合黄色のフェアプレーフラッグを掲げ、試合前には選手達がフラッグにサインしてフェアプレーを誓約するわけです。問題は、レフェリーの主観部分。往々にして厳格すぎるレフェリーはゲームを壊しがちです。アルガムディ主審はその典型例で、ロスタイムに本田にFKを蹴らせなかったのは、本人にすれば、時計通り笛を吹いた勇気あるジャッジだったのでしょうが、ゲームのクライマックスに幕を引いてしまい、ドラマチックなゲームを台無しにしてしまったのは明らかです。W杯で笛を吹いた位ですから、一流審判であることは間違いないのでしょうが、今後の再犯(?)防止の為にも、日本サッカー協会としては、今回のジャッジ(特に内田のファウル)への異議をFIFAに提訴すべきだと思います。(オジェック豪州代表監督も「内田のプレーはファウルには見えなかった」と試合後のインタビューで語っています。)
主審の問題はさておき、序盤押されっ放しだった流れを引き戻して、最終的にシュート数で15
(豪州)vs13(日本)のほぼ五分に持込み、ボールポゼションも56%に引き上げた日本代表の復元力は評価すべきだと思います。ただ、豪州クラスのフィジカルの強いチームにプレスを掛けられると、パスの精度が落ち、ミスも出てくるということが確認されました。また、自陣ペナルティエリア内の高さ対策も課題として残りました。印象的だったのは、試合後、ザッケローニ監督も選手達も審判の判定には一切言及していなかったこと。アジア杯での中東の笛からわずかの期間で随分大人の対応に成長していました。このチームは、まだまだ成長しそうな予感がします。9月の最終予選再開時にどのように進化しているか楽しみです。

2012年6月10日日曜日

ヨルダン戦 ‐ 強さの秘密と一抹の不安

W杯アジア最終予選、初戦快勝の後の大事な一戦。相手は相性の悪いヨルダン。固くなり、慎重になってもおかしくないゲームですが、サムライブルーは、あたかも親善試合のようにリラックスしてゲームを支配し、得点を重ねました。6対0は掛け値無しの快勝であり、現在の日本代表の強さを実証した試合でした。日本代表史上最強チームとの称号に相応しい戦いぶりでした。不思議なチームです。主力は、北京五輪3連敗と惨敗した反町ジャパンのメンバー。エース本田は、まだまだ中田英寿の域には達していないと思いますし、岡崎も尊敬するゴン中山を超えるには至っていません。守備陣は、ドイツW杯のメンバーの方が安定していました。中盤も、名波・稲本・小野・俊輔の黄金のカルテットの方がタレント的には上。そんなフツーの男の子達のチームの強さはどこからくるのでしょうか。圧倒的なボールポゼションとパス回しを可能にしているのは、このチームの誰もが口にする「団結力」です。そして、それを支えているのが、個々のメンバーの様々なリーダーシップではないかと分析しています。まずは、キャプテン長谷部の正統派キャプテンシー。彼の存在が、チームに規律と信頼感をもたらしています。そして、本田の力づくの牽引力。長谷部とは違った意味でのリーダーシップです。彼の存在が、チームに力と勇気を与えています。影のコンダクター、遠藤の存在がチームに落着きをもたらし、香川・長友の海外での実績がチームの自信となっています。岡崎のひたむきさ、ムードメーカー今野、槙野の存在もチームのアクセントとなっており、一種のリーダーシップを発揮していると言えます。これらのリーダーシップがうまく噛み合い、個々のメンバーの力を増幅し、チームの強さの源泉となっているのです。ただ、不安が無い訳ではありません。複数のリーダーの存在は、チームが上り調子の際には大きな推進力となりますが、一度歯車が狂い始めると、チームを分裂させる原因となりかねません。それは、ドイツW杯本戦で日本代表に起こったことでもあります。もっとも、このチームの場合、北京五輪での挫折体験、南アW杯での成功体験を共有しており、チームとしての団結力が簡単には崩壊しない強みがあります。一抹の不安はヨルダン戦の5点目のPK。FW前田が得たPKですので、本来であれば、本人の前田がPKを蹴るところです。ハットトリックが掛かる本田に前田が譲った形でしたが、本田は前田に気遣うこともなく、最初からボールを離しませんでした。しかも、PKのシュートはゴール中央へのフワッとしたシュート。キーパーが足でクリア出来るボールでした。もし、クリアされていたら、日本代表に小さな火種が生じていたかもしれません。
ヨルダン戦でのもうひとつの発見は、ザッケローニの手堅さ。大量リードの後半。サポーターが宮市の投入を待ち望んでいることは、ザックも判っていたはずです。にも拘わらず、2枚目のカードは憲剛、3枚目は伊野波でした。吉田の負傷退場で、DFのバックアップを試す狙いと、レギュラーCB今野の温存を図ったものでした。豪州との戦いを見据えた冷静な采配でした。ジーコだったら、間違いなく宮市、ハーフナー投入だったと思います。

2012年6月4日月曜日

14番目の月 - オマーン戦

ブラジルW杯アジア最終予選オマーン戦、色々な不安は昨日書いた通り。しかし、それが全て杞憂に終わった快勝でした。
先発11人のうち国内組は今野、遠藤、前田の3人のみ。海外組の成長、経験値のアップを痛烈に印象づけられた一戦でした。まず驚いたのはシュートの正確性。シュート14本のうち枠内シュートが9本。3ゴールは決定率20%以上。しかも、先制点、本田のゴールは日本のファーストシュートによるもの。明らかにペナルティエリア内での落着き、精度が上がっていました。前半は、オマーンのゴール前で、パス回しのミニゲームの練習のような試合展開。目立っていたのは本田。ボランチからトップまで、まさにセントラルミッドフィルダーの動きでした。遠藤が気配を殺しつつ、本田の上下動の要所要所で壁になっていたのが印象的でした。
3点取った後は4-4-2のブロックを低めに形成して日本版カテナチオ。守備的システムも試し、落ち着いて試合を終わらせ、いかにもアジア王者の戦い方でした。結局、オマーンのシュートはクロス気味の1本のみ。ポゼションサッカーの完璧な勝利でした。
ひ弱だった反町ジャパンの北京世代は、海外での経験を糧に、この4年間で大きく成長しました。国内組サポーターも一層の精進が必要です。オマーン戦での課題を挙げるとしたら、ゴール前でファウルを取れなかったこと。レフリーに取ってもらえなかったのは、倒される際の一踏ん張りの粘りが足りなかったのが原因。これ位の課題があった方が、サポーターとしても応援のし甲斐があるというものです。折りしも、スタジアム上空には満月1日前の月(写真)が。ユーミンの歌が思い浮かびました。
♪次の夜から欠ける満月より 14番目の月が一番好き

2012年6月3日日曜日

ブラジルW杯アジア最終予選 ‐ 予兆

いよいよブラジルW杯アジア最終予選が開始されます。エース香川が絶好調、精神的支柱の本田が復帰し、李以外故障者もなく、チーム状態は万全といえます。日本代表史上最強チームとも称され、W杯出場は既定路線との空気も漂っています。楽観していいのでしょうか。
予兆という言葉があります。慶事の予兆は吉兆と呼ばれており、白鷺、彩雲などの前ぶれ、縁起物的で、因果関係に欠ける感があります。一方、凶兆はちょっとした悪い兆候が結果的に凶事に繋がる場合が多々あります。日本代表凶兆その1。ACL惨敗。かつて浦和、G大阪でACLを連覇した時の勢いが日本のクラブチームにはありません。アジア勢の日本チーム対策は急速に進んでいます。凶兆その2。G大阪の不振。ゲームのペースを変えることが出来る遠藤の存在は代表にとって不可欠ですが、彼のもう一つの魅力は卓越した危機察知能力です。これはザックジャパン不動のCB今野にも言えることです。不安材料は、2人の属するG大阪が不振を極めているということ。しかも、守備が崩壊して、敗戦を重ねているのです。G大阪で起こっていることが日本代表では起こらないと言い切れるでしょうか。欧州CLでのチェルシーの優勝も不吉です。日本代表が男女とも目指すのはポゼションサッカー。しかし、欧州を制したのは、チェルシーの極めて守備的なカウンターサッカーでした。グアルディオラもバルサを去るし、ポゼションサッカーの潮流の潮目が変わりつつあるのでは?不安を挙げたらキリがありません。若きサムライブルーが、これらの不安を杞憂に終わらせてくれることを期待したいと思います。トルシエジャパンの海外組は6名でした。「海外で戦う選手が20名を超えたら日本代表はめちゃくちゃ強くなる」当時のトルシエ監督の予言です。現在、欧州主要リーグに所属する日本選手は22名。吉兆かもしれません。ザッケローニ監督は言っています。「簡単な試合はひとつもない」と。楽観も悲観もなく、一試合一試合に集中して選手と共に戦いましょう。