2012年2月23日木曜日

U-23 マレーシア戦 - 赤いラインの意味は?

U-23五輪アジア最終予選マレーシア戦。原口の再起戦となるとともに、日本代表新ユニフォーム(写真)のデビュー戦となりました。従来よりも深みを増した濃紺地に、これまでのユニフォームの衿元のレッドカードが下に引き伸ばされた様な赤い一本線が縦に入った斬新なデザインです(宇宙戦艦ヤマトを思い起こしますが・・・)。また、素材の乾燥性が25%アップし、ロンドン五輪での暑さ対策が施されています。新ユニフォームの赤いラインは「結束」を象徴していますが、ロンドンへのレッドカーペットに繋がるのか、危険ゾーンを示すレッドラインとなってしまうのか注目の一戦でした。勝利のみならず、大量点を取ることが要求される試合でした。サッカーにおいて、これほどゲームプランが難しい状況はありません。ゴールをあせればあせるほど、ゴールが遠ざかってしまうのがサッカーです。その状況の中で、U-23日本代表は冷静にゲームをコントロールし、よく4点をもぎとりました。マレーシアのプレスが緩かったこともあり、悪いピッチ状態をものともせずに、パスを繋げる本来の日本のサッカーに徹することが出来たのが、勝因でした。酒井・比嘉の両翼が高く張り出し、幅広のブロックでの分厚い攻めが、4ゴールに繋がりました。陣形はシリア戦でのバランスの悪い瓢箪型から大幅に改善されていました。また、追い詰められた状況で、アウェイでの大量得点による勝利という極めて困難なミッションを達成した代表チームの自信と精神的成長が何よりの収穫でした。新たに投入されたメンバーが結果を出し、このチームの強みである「結束」力を改めて示してくれました。サッカーの神様も、評価してくれたのでしょう。ライバルのシリアがバーレーンに敗れるという波乱を演出し、ロンドンへのレッドカーペットを準備してくれました。しかし、この試合でみせた日本チーム本来のゲーム運びを、より寄せが速く、プレッシャーの強い相手に対しても同じ精度で出来るかが、本戦で勝ち進めるかの鍵となります。バーレーンとの予選最終戦@国立競技場が楽しみです。ともあれ、U-23代表チーム、「アッパレ!」

2012年2月15日水曜日

清水桜が丘 - 新たな伝統(U-23)

高校統合により、伝統の「清水商」の名前が消える静岡市立清水商業高校(旧清水市立商業)の新校名が「清水桜が丘高校」に決まりました。一般公募の結果、所在地の「清水区桜が丘」にちなんだ命名となりました。清商(きよしょう)というシンプルで且ついかにも古豪の風格を湛えたライバル校の名前に慣れ親しんだ清高(きよこう・清水東の地元での呼び名)OBとしては、複雑な心境ですが、TVドラマに出てきそうな校名の下、新たな歴史を刻んでくれるものと期待しています。
ところで、ロンドン五輪を目指すU-23日本代表がいよいよ厳しい状況になってきました。シリアとの得点差1は、さほど騒ぐことではないと思っていますが、山田・清武・山崎という中心選手の負傷離脱に加え、ムードメーカー大津の召集が難しいというのは、極めて痛いと言わざるを得ません。関口監督は、個人での打開力を期待して原口元気を招集しましたが、今のアジアのレベルは個人で何とかなるほど甘くはありません。かなり心配です。そもそもシリア戦は組織が機能しませんでした。シリアの速い寄せに対応しきれず、底の大きな瓢箪のような陣形になってしまい、山田がくびれの部分で上下動を繰り返す展開になってしまいました。なでしこの澤の上下動が有効に機能し、チームのスイッチ役になっているのは、女子サッカーは男子に比べて、ややスピードに劣るのと、精度の高いロングパスがほとんどない為。澤が先読みして走りこんだり、戻ったりする余裕があるわけです。山田が同じことをしても、単にボールを追いかける展開となり、チームの起点となりえませんでした。シリア戦敗戦の教訓を活かすとしたら、もっとしっかりとボールをつなぎ、組織的な展開で相手を圧倒するコレクティブな戦術に立ち戻る必要があります。キーマンは濱田と山村、そして、酒井のトライアングル。駒野・阿部・闘莉王・松井・今野らの初代「谷間の世代」は、最終的には南アW杯でBest16という輝かしい結果を残しました。2代目「谷間の世代」の現U-23代表チームがこれからどう立て直し、新たな伝統を築いていくか、期待しましょう。
写真は、出張先のバリの海岸の日の出風景です。U-23も、なでしこ、西織に続いてRising Sunになって欲しいものです。それだけの潜在力はあるのですが・・・。

2012年2月6日月曜日

雪の世界から - U-23シリア戦

毎年冬にはYMO(Yuki-Mi-Onsen)と称して、雪の秘湯を訪れる旅をしています。今年は福島復興支援がテーマで、Project名はFunky Sky。喜多方ラーメンを味わい、会津日中温泉でのYMOを満喫し、智恵子の「ほんとの空」を福島が一日も早く取り戻すことを祈念しようという趣旨です。今回は、更に会津若松で冠雪の鶴ヶ城を眺めることが出来ました。土曜日午後から夜半まで降り続いた雪は、景色をすっかり変え、一夜明けて晴天となった日曜日はまさに「雪の世界」が一面広がっていました。雪の壁の間を車が雪を撥ね上げながらノロノロと走ります。人が通るべき側道は雪に埋もれ、車のみが移動の手段となっています。民家の屋根には雪が1m近く積り、至る所で雪下ろしが行われていました。スコップやスノーダンプなどで少しずつ雪を下に落としていく地道な作業を延々と続けなければなりません。若い働き手がいない過疎地では、お年寄りにとって辛く、また、危険な作業でもあります。舞う雪に包まれての日中温泉ゆもと屋での露天風呂は正に極楽でしたが、帰りの送迎バスの中から眺めた雪景色の美しさの下での生活の過酷さには言葉を失いました。喜多方駅に着いてみると、会津若松までの列車は午前中運休。夕方からの出張の為に何としても11時の新幹線に乗らなければならず、タクシーで会津若松まで。運転手さんの機転で会津若松より郡山に近い無人駅の東長原駅に。線路とホーム前方は除雪されていたものの、駅標は写真の通り雪に埋れておりました。
当日夜のU-23シリア戦の結果は、出張先の香港でインターネットで知りました。試合のハイライトはYouTubeで観ました。ホテルのTVでは同グループのバーレーンvsマレーシアのゲームが流れていました。日本の試合のリメーク版の様にマレーシアも折角追いつき、押し気味に試合を進めながら、終了間際にDFが足を滑らせて失点し、2-1の敗戦。権田のミスともいえる2失点といい、気の重くなるシーンでした。引分けでいいところを守り切れなかったシリア戦には、あのドーハの悲劇が重なりますが、決定的に異なるのは、これが最終戦では無いということです。「五輪出場権自力獲得消滅」との新聞見出しもありましたが、これは誤りで、たとえシリアに及ばなくとも、2位同士の闘いを勝ち抜き、セネガルとの大陸間プレーオフに勝てば、ロンドンへの切符を自力で手にすることが出来るのです。雪の壁に怯むことなく、確実に除雪しながら前に進んで行くことが、若きサムライブルーには必要です。そうすることで、このチームに一番欠けている精神的な足腰の強さが確実に鍛えられるはずです。