2010年6月26日土曜日

GL突破 - 団結のチカラ

度々コメントを書き込んで頂いている滋賀のKさんは、かつて実業団サッカーチームでプレーし、少年サッカー当時の松井を指導した方でもあります。コメントの中で、デンマーク戦の本田のFKは、GKがサイドネットに掛けていたタオルがいいターゲットになったと分析しています。確かに再三放映される映像をみると、ボールが美しい弧を描いた後タオルを揺らしています。また、シリコンバレーの中年サッカー小僧GNさんからもコメントを頂きました。W杯らしく、コメントも国際的になってきました。
さて、大方の予想を見事に裏切って、サムライブルーがグループリーグを突破しました。デンマークサポーターが敗戦後「日本チームには欧州のチームが失ってしまった献身の姿勢を感じた」と述べています。岡田監督もインタビューで「サッカーがチームスポーツであることを証明した」と語っています。まさに、団結のチカラが第一の勝因だと思います。個々の力が劣る日本は、個々の不足部分をカバーしあうことにより、総和としてのチームの力を高めています。それが献身、あるいは、チームスポーツという言葉で表現されているわけです。しかし、献身は、選手達に自らの本来の役割にプラスアルファの負担を強いるものであり、そのバランスがうまく機能すれば、団結のチカラになりますが、そのバランスが崩れたり、チームメートへの信頼感を失ってしまうと、本来の役割で100%の力を発揮できない状態に陥ってしまい、チームそのものを崩壊させてしまうという危険性を秘めています。本大会前の4連敗中は、まさに個々の選手が、チームへの信頼を失い、本来の役割を果たす前に、他の選手のカバーに逃げるという状態にあり、チームの体をなしていませんでした。前線からのプレス、低い位置まで戻っての守備、そして、DFの裏への飛び出しによる得点という過大なタスクを課せられたFWの機能不全と守備陣の不安定さに、選手達は不安感を持ち、そのカバーに追われていました。ただ、本大会に入り、ゼロトップにすることにより、高い位置でのプレスを捨て、ドイスボランチという名の実質3バックにより(阿部のポジションは昔のリベロでは?)、守備への不安が払拭されました。この岡田監督の破れかぶれと思われた新システムの採用が、見事に団結のチカラを結実させることになりました。団結のチカラを前回のブログで「青い翼」という言葉で表現しましたが、体内で暴れ、むしろ自らを傷つけていた翼が、本大会でようやく生えてきて、羽ばたくのに間に合ったというところでしょうか。試したことのないシステムを本番で採用するというギャンブルは決して褒められるべきものではないと思いますが、計算ずくのシステム変更であれば、素直に岡田監督の手腕を評価せざるを得ないでしょう。
日本が団結のチカラで勝ち抜いたのに対し、団結というベースすら失っていたフランス、イタリアといった強豪国が予選リーグで敗退しました。ただ、決勝トーナメントは、個人の卓越した力を融合し、チームの力に昇華させていく「組織力」というより次元の高いチカラの勝負になります。欧州の強豪チームは予選リーグ中に苦戦しながらも、この組織力を高め、チーム力を確実に上げてきます。また、今回の南米チームは組織力の高いチームばかりであり、パラグアイもそのひとつです。日本の団結のチカラが組織力にどこまで対抗できるのか、望むらくは、組織力の最高峰チームであるスペインとの対決で試して欲しいものです。

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