2010年6月4日金曜日

ウサギとカメ - コートジボアール戦

日本代表戦の後にブログを書かなければならないというのも、結構なプレッシャーです。特にここ数試合、内容の無いゲームを見せられるとなおさらです。やむなく、W杯本戦まで取っておきたかったネタを披露させて頂くことにします。98年フランスW杯初戦アルゼンチン戦前のロッカールームで、岡田監督は、井上靖の詩集から「人生」という詩を引用して、「地球は何億年もあり続け、人類の歴史はそのうち数千年、人生なんて80年に過ぎない。だったらサッカーの1試合90分なんて短いものだ。その一瞬にかけてみろ。」と言って、選手を送り出したそうです。監督としては、かなり気の利いたことを言ったつもりが、選手の一人だった岡野雅行は、「監督が何か哲学的なことを言っている。やっぱりスゲーな」という印象しか残っていないと回顧しています。あれから12年の年月を経て、岡田監督が今回引用したのは、「ウサギとカメ」でした。「カメが何故ウサギに勝ったのか。それは、ウサギが相手を見ていたのに、カメはひたすらゴールを見て走っていたからだ。」井上靖からイソップ童話への変転は、岡田監督の指導者としての成長なのか、代表世代の幼児化を反映したものなのか、微妙ではあります。
岡田ジャパンは、皮肉にも、ゴールをみているどころか、首をすくめたままのカメになってしまいました。イングランドの名前に怯え、コートジボアールの身体能力に怯え、ゴールどころか前さえも向けない状態です。インターセプトを恐れるあまりショートパスの交換のみの安全・安心・コンパクトな(!)攻め。たまのロングパスもDF網を大きく超え、味方が追いつくはずもない「ほとんどクリア」パス。これだけリスクを冒さない、戦う姿勢を見せない姿をW杯本戦で晒すとしたら、たとえ、幸運にも3戦スコアレスドローで勝ち点3を獲得したとしても、日本サッカーにとって何の意味もありません。3戦とも5-0の惨敗の勝ち点ゼロでも結構。とにかく、サッカー(=ゴールを目指すゲーム)をしてきて欲しい。岡田監督は、コートジボアール戦後のインタビューで「戦える選手、戦えない選手がはっきりした」と言っていましたが、まずは監督自身が戦う姿勢を見せることが必要でしょう。

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