
2つ目は精神力。ゴール前での冷静さ、PK戦前にも笑顔を見せるタフさ、格上の米国に2度もリードされながら、追いついた気持ちの強さ。そして、120分間走り続けるのもスタミナ以上に強い精神力があってこそです。この精神力は体力と異なり、練習のみで鍛えられるものではありません。日常生活を含めた人格形成の中で結晶化していくものなのです。プロサッカー選手はサッカー少年にとって憧れの職業であり、日本代表クラスともなれば、それなりの収入を得、サッカー以外にも多くのものを手に入れることが出来ます。一方で、なでしこ達は、エースの澤でさえ、所属クラブからの年俸は360万円といわれています。他の選手達は月10万円の報酬と言われ、殆どがアルバイトをして生計をたてているのが実態です。経済的にも環境的にも恵まれない中で、彼女たちは、それでも、サッカーを選択し、多くのものを諦めながら、サッカーに打ち込んでいるのです。それだけ、サッカーを愛しているからこそ、大舞台でも臆することなく自分たちのサッカーを楽しみ、最後まで走り抜き、PK戦の前でも笑顔でいられたのです。なでしこ21人を固い絆で結び付け、あの団結力を作り出していたのは、佐々木監督の統率力、澤選手のリーダーシップの前に、サッカー愛という強烈な磁力だったのだと思います。澤選手は、北京五輪の際「苦しくなったら私の背中を見て」と言って、チームメイトを鼓舞しました。今回はその必要はなかったと思います。なでしこ達は、それぞれのサッカー愛をのびのびと表現する術を身につけていました。自ら優勝というゴールを定め、しっかりとそれを見据えて、疾走していました。サッカーの神様もその愛に応えてくれました。(写真は、日の丸を羽織って駆ける澤選手)
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