2008年9月28日日曜日

朝原と中山ゴン - アスリートの人間性


スーパー陸上のクライマックスは朝原選手のラストランと引退セレモニーでした。スタンドに向けて手を振りながらトラックを一周する朝原選手の後ろを北京五輪のリレー銅メダルメンバーが横断幕を掲げて従います。いかにも朝原選手の人間性をうかがわせる瞬間でした。朝原選手は、最後に五輪での銅メダルを獲得したものの、それまで五輪でも世界陸上でも勝てず、日本記録保持者でもありません。いわゆる、記録に残る選手ではないものの、記憶に残る選手です。その人間性が、応援する観客に何かを訴えかけ、勝利や記録を超えた感動を呼ぶのでしょう。
フットサル日本代表キャプテンの藤井選手が、朝日新聞のコラムで、サッカー日本代表についてこんなことを言っています。「今の若い選手の方が昔よりずっとうまい。W杯予選など、勝たなければならない試合を勝ちきる強さもある。でも観客を集めるのに努力が必要だった時代の選手には、人間的な魅力があった。」
現在、中山ゴンに技術的に勝るFWは大勢いますが、彼より魅力あるFWはいません。観客やサポーターが欲しているのは、TVゲームに出てくる技術レベルの高い完璧な選手ではないのです。弱点をかかえながら、熱く訴えかけてくる選手であり、そんな選手と想いでシンクロしながら、一緒に戦っていくのが、観戦の本当の魅力なのです。随分欲張りな願いではありますが、若い選手には、サッカーの技術とともに、自らの人間性と美学を磨き、観客への訴求力を身につけて欲しいと思います。それが、選手と観客とのシンクロを生み、本当の意味での「日本らしいサッカー」の確立につながるのではないかと思うのです。(ゴンの写真は、2007年のJリーグオールスターの際のもの。1得点+1オウンゴールといういかにもゴンらしいパフォーマンスでした。)

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