2011年9月3日土曜日

北朝鮮戦 - 噛み合わない歯車

柏木陽介は好きな選手です。グループリーグ突破を果たした2007年U-20W杯調子乗り世代の中心選手であり、それ以前から注目していました。小柄な体に闘志をみなぎらせ、無尽蔵なスタミナでピッチを駆け巡るプレースタイルは、サンフレッチェの心臓であり、ダイナモでした。しかし、ステップアップの為に移籍した浦和で周囲と噛み合わず苦しんでいます。チーム戦術と本人のプレースタイルが合わなかったり、チームメイトとの相性がよくなかったり、必ずしも本人のパフォーマンス自体は悪くなくとも、いわゆるフィットしないという現象がしばしば起こります。香川は昨シーズン、ドルトムントで中心選手として大活躍しましたが、長友のセリエAインテルに行っていたら、どうなっていたか。逆もまた同じです。サッカーがチーム競技である以上、チームへのフィットは最も重要な要素です。柏木のようにボールに触りたがる選手は、ポジションの比較的固定したチームでは輝きを発しますが、ポジションの流動的なチームでは持ち味を失ってしまう場合があります。
W杯予選北朝鮮戦(写真はすっかりお馴染みになった肩を組んで君が代を聴くサムライブルー)。本田、中村憲剛というトップ下2人を負傷で欠き、香川をトップ下に配し、左サイド清武の布陣を予想しましたが、トップ下は柏木。もともと意気に感じるタイプですから、燃えないはずがありません。いつも以上の運動量でピッチを走り回ります。ハーフウェイラインまで戻ってボールを受けて攻め上がるかと思うと、左サイドでボールを繋いだ後、ゴール前でシュートに絡みます。何回かあった決定機を決めていたらヒーローになっていたかもしれませんが、シュートの精度が低かったのとボール回しのリズムをしばしば途切らせていたので、印象は良くありません。ボールを欲しがる動きは、他の選手との距離感を乱し、時には他の選手のスペースを消していました。岡崎や香川が窮屈そうに動き、あるいはポジションがサイドに開きすぎていたのは、柏木との連携に原因があったように思います。前半30分過ぎ、香川がポジションチェンジをして中央に入った時間帯に、いいリズムの攻撃を仕掛け、柏木が退いた後に怒涛の猛攻を繰り返していただけに、余計、柏木のフィット感のなさが目立ちました。素晴らしい選手であることには変わりがないのですが・・・。柏木に替わって入った清武は決勝点をアシストし、これで代表2試合で3アシスト。先発に定着させるのか、スーパーサブで使い続けるのか、ザックの悩みどころです。

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