2011年6月11日土曜日

Samurai Blue - 自信と誇り

国歌演奏の際に選手もベンチも肩を組む姿は、南アW杯以来すっかりお馴染みの光景となりました(写真は、チェコ戦国歌斉唱時)。全員で戦う気持ちを確認しようと闘莉王が提案したものだといいます。
チェコ戦の先発メンバーの背中を眺めていると、3年前の北京オリンピックを思い出しました。チェコ戦の先発メンバーのうち、吉田、長友、内田、本田、李、岡崎と6名が北京で惨敗し、挫折を味わったメンバーです。世界の壁に跳ね返された彼らですが、その後、W杯、アジア杯での活躍を経て、世界に巣立っていきます。北京五輪組のうち、先発の6名に加え、ベンチスタートの安田、細貝が現在海外でプレーしています。チェコ戦での彼らのプレーには、北京以降の3年という歳月を遥かに越える成長を感じました。日本代表というチーム自体、南アW杯直前の自信喪失の状態から、W杯Best 16、アジア杯優勝という戦績を通じて、大きな自信と誇りを手に入れました。この2つは、願って得られるものではなく、努力のみでは手に入れることが出来ないという厄介なものです。ただ、一旦手に入れると、これ程強力な武器はありません。成長を促すジャンピングボードになりますし、実力を確実に引出し、増幅するアンプの役目を果たします。仮に同じ実力値の選手同士が対決した場合、自信の無い選手はその実力の半分も発揮出来ないのに対し、自信溢れる選手の場合は、時として実力以上の力を発揮し、更なる成長を遂げていくという具合です。しかし、自信は繊細で脆いものです。それを支えるのが誇り、プライド。海外での生活・戦いを通じて、彼らは自立心という堅牢な器を手に入れました。そして、成功体験・勝利の積重ねが、その器にしっかりと自信と誇りを注ぎこんできたのです。
前置きが長くなりました。ペルー戦でこそ3-4-3の新システムに囚われていた日本代表でしたが、チェコ戦ではそれなりの解釈を示してくれていました。ザッケローニが、日本代表の飲込みの速さに驚いていたということですが、日本代表を見続けてきたサポーターにとってはそれ以上の驚きでした。これまでの日本代表は、システム・戦術というものには極めて過敏でした。如何にシステム・戦術を忠実にこなしていくかが目的化してしまいがちでした。システムへの隷属は、自信と誇りを抑えます。フラットスリーの型に押し込めようとしていたトルシエは、選手が自立し、自信と誇りを持つことを嫌う監督でした。ジーコは選手の自主性を説きましたが、日本代表をトルシエの呪縛から解き放つに至りませんでした。と、話は佳境ですが、長くなり過ぎてしまいましたので、続きは、次回で。

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