2011年6月23日木曜日

長友語録 - 全てを動かすのは「心」

報道ステーションでインテル長友選手のインタビューが放映されていました。インテル移籍後順調にレギュラーに定着した感がありますが、その裏側での葛藤が本人の口から吐露され、いかにしてそれを乗り越えたかが語られた内容の濃い企画でした。
ローマ戦途中出場でのデビュー戦。日本の新聞は「短かい出場時間ながら積極的に攻撃に絡み、勝利に貢献」とこぞって長友を持ち上げていましたが、地元紙ガゼッタ・デロ・スポルト紙の評価は5.5と平均以下。しかも「臆病、組織に馴染んでいない、プレーの精度が低い」とメッタ斬り。長友自身は「インテルというビッグクラブのプレッシャーの為に自分のプレーが出来ず、消極的になってしまった」とこのデビュー戦を振り返っています。確かに報道ステーションで編集された試合映像を観ると、前にスペースが広がっているにも拘らず、自ら仕掛けずに安易に味方のプレーヤーにボールを預けるシーンが目立ちました。日本代表などでお馴染みのスペースに切り込んでいく長友本来の姿が影を潜めていました。この状態は次の出場機会でも改善されず、以降2試合長友に声が掛かることはありませんでした。長友は「気持ちが消極的になっていた訳ではなく、実際にスペースが見えていなかった」と語っています。プレッシャーの為に余裕を失い、視野が狭まっていたという訳です。長友は、エトーやスナイデルなどのチームメイトが素晴らしいプレーを当たり前のように繰り出している姿をベンチから眺め、技術やフィジカルの差ではなく、心の在り様の差を見出します。心に余裕があるからこそ、試合のプレッシャーの中でも自分のプレーが出来る。「全てを動かすのは『心』」と彼は言います。心に余裕がなければ、周りも見えないし、身体も動かない。この心の在り様は、多くのスポーツ選手から聞かれるところです。「あれだけ厳しい練習に耐えてきたから・・・」「この監督の下であれば・・・」と、精神的支柱を見出して、心の安定を確立していくなどなど。長友選手のユニークなところは、感謝の心を持つことで、心の余裕が作り出せるという考え方です。「毎日食事が出来ることに幸せを感じ、サッカーをさせてもらっていることに感謝する。感謝するというのは、感謝する相手が見え、判るということ。視野が広がり、そこに心の余裕が生まれる。」独特の精神論ですが、結果が全てをもの語っています。デビュー戦での長友を酷評し、5.5と採点したガゼッタ・デロ・スポルト紙も、シーズンを通しての評価として、7.5という極めて高い点数をつけ、来期の更なる活躍を期待しているというコメントを寄せていました。
余談ながら、インタビュアーはミスター・エスパルス、澤登正朗。的確な質問と分析、そして、後輩に対しても丁寧語を貫く姿勢には好感が持てました。監督として戻ってきて欲しい人材です。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

一度テレビで見たのですが消してしまい、再度見たいと思っていたので、インタビュー内容確認できありがたいです。
自分も感謝するという心のスタンスが、これ程良い結果を生んだというところに感銘をうけました。
インタビューまとめてもらいありがとうございました。