2011年5月10日火曜日

被災地を訪れて その4 - 「結」

写真は、ガラス拾いを行った小学校のグラウンドです。同じ敷地内で仮設住宅の建設が始まっていました。復興に向けての最初の一歩となる槌音が響き始めていました。この南三陸町歌津地区には元禄時代から400年続く「結(ゆい)」という相互扶助の制度があります。もともとは田植え、屋根葺きなど人手を有する作業を共同して行うという制度です。
日本古来の共同体組織であり、行政組織も壊滅してしまっている状況下、震災からの復興に大きな役割を果たしていました。RQのボランティアもこの結の組織と連携を取りながら活動を進め、作業内容もその要請に沿って決定していました。現地に行ってみると、やらなければならない作業は山ほどあり、その優先順位付けが重要であり、且つ、困難なプロセスとなっています。その意味で、結という地元の組織によりそれらの決定がなされていたのは、RQの活動にとって幸いだったと思います。現にRQ本部には潮に浸かった鍋釜を洗って欲しい(洗おうにも真水が無い)、親戚の家から荷物を運んで欲しいとの要請が日々寄せられています。お願いされて「何とかします」と個人的に請け負ってしまったボランティアの女性が、結局は対応出来ずにオロオロしていたケースもありました。ボランティアというのはあくまで個人の心情に基づくものですが、個人の活動を最適化させる為には組織化が必要となります。個人の心情と組織の合理性の折合いがボランティアの難しさのひとつです。ボランティアの概念は欧米にルーツを発するものですが、我国古来の結という概念も見直してみる価値があるのではないでしょうか。
今回の震災は、原発事故も惹き起し、図らずも日本人の生活様式を見直すきっかけともなりつつあります。地域社会のコミュニティというものも改めて見直されるべきもののひとつかもしれません。

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