2010年10月11日月曜日

高みへ - アルゼンチン戦

メッシ、メッシ、メッシ。埼玉スタジアムはアルゼンチンの10番のレプリカユニフォームを着た子供たちが至る所で目につきました。また、アルゼンチンの応援席にもブルーの日本代表レプリカを着たサポーター達が。ザック・ジャパンの船出のゲームは、さながらメッシ一人にスタジアムジャックされた様相でした。そして、キックオフ早々メッシが魅せます。ボールが足に吸いついているような小刻みな高速ドリブルに、日本のDF陣がいきなり翻弄され、ピンチを招きますが、その後のディフェンスは安定感に溢れ、ザック・ジャパンの目指すサッカーを予感させるものでした。
岡田ジャパンのW杯での守備的布陣は、CBの両脇にやや高めにSBを配置し、その1列前にボランチを置いた六角形を押しつぶしたような陣形で、その六角形の中心に阿部を配したものでした。いわば、蜘蛛の巣でボールを絡め取るような守備陣形でした。それに対して、新生ジャパンの守備陣形は、CBとSBの横一線の前にボランチの両脇に岡崎、香川の両ウイングがフラットに並び、8人で長方形のブロックを構成し、敵の中央突破を撥ね返す布陣でした。これがアルゼンチン相手に、見事にはまりました。南米の雄のプライドか、中央突破にあくまでこだわるアルゼンチンの攻めに対して、日本の長方形のブロックが面白いように機能します。長身のイグアインをターゲットにハイボールを放り込んできたり、サイドをついてきたら、あるいは、日本の金星はなかったかもしれません。また、親善試合が故の6名までの選手交替も日本に有利に働きました。攻守の切替えの都度、激しい上下動を繰り返す岡崎・香川の動きは、90分間持続するのは不可能であり、2人のスタミナが切れた時には、日本の強固な守備のブロックに亀裂が生じることになるからです。
いずれにせよ、ザック・ジャパンのコンセプトが明確に表現されたナイス・ゲームでした。ただ、その真価は、アウェイでの日韓戦で問われます。南アW杯でのBest16を足懸りに、どこまでの高みを目指し、どこまでの高みに至ったのか。U-19アジア予選で、U-20W杯本戦への道を断たれた弟分の雪辱を果たせるのか、注目です。
(ところで、埼玉スタジアムで隣り合わせたご夫婦のご主人の方は、なかなかのサッカーフリークオヤジで、味のある解説を奥様にしておりました。香川の中央への切込みに際して、「行け、行け、香川、ドルトムント香川」の絶叫の後にポツリと「四国のチーム」。よほど、自分で気に入ったのか、もう一度「ドルトムント香川、四国のチーム」とつぶやき、ニヤリと笑っておりました。座布団1枚。)

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