2011年1月14日金曜日

冬の華 - アジア杯シリア戦

写真の手前の小さな花は、十月桜。冬桜の一種で、10月下旬から1月上旬に開花します。ちょうど今、冬空の下、寒風に揺られながら白く可憐な花を咲かせています。
さて、アジア杯シリア戦です。恐らく、シリアでは、日本以上に、微妙な判定に対する批評がマスコミを賑わしていると思います。まず、日本に対するPK判定のシーン。倒されたシリア選手のポジションは明らかにオフサイドポジションですから、線審のオフサイド判定は間違えではありません。但し、主審は、ゴール前にボールがこぼれたのは、シリアのパスではなく、日本のバックパスだと判定しました。したがって、この時点でオフサイドが取り消されたのは、正当な判定だといえます。混乱に輪をかけたのは、一旦出したイエローカードを線審と協議してレッドカードに変更した点です。GKがシュート体勢の選手を倒した訳ですから、レッドカードでもおかしくありませんが、一旦イエローカードを出して、それを変更した一貫性の無さは、ゲームのコントロールを難しくし、審判としては決して行ってはいけないことです。一方のシリアに対するPK判定は、主審の埋合せの感が強く、シリアとしては不満が大きいと思います。両方ともPK無しというのが、妥当な判定だったと思います。ただ、1-0で勝つのでは無く、GK退場、PKで追いつかれるという試練を乗り越えて、1人少ない状況で2-1の勝利を掴んだことで、ザック・ジャパンは、貴重な体験をし、成長の階段を一歩上った感があります。サッカーの神様が仕組んだ粋な計らいです。苦しんで得た勝利は、ザック・ジャパンの公式戦初勝利を飾るに相応しいものでした。また、日本代表通算1,000得点目となった本田のPKゴールも象徴的でした。あの大事なシーンで、遠藤や長谷部といった先輩を差し置いて自ら買って出たPKは如何にも本田らしく、ミスキック気味に中央にいったシュートがキーパーの足の間をすり抜けた強運。この男は、確かに何かを持っています。他方、いまだ覚醒しないモンスター前田。前半の再三の決定機をひとつでも決めていたらゲームはもっと楽な一方的なものになっていたと思います。オフ明けで微妙なシュート勘がまだ戻っていないというところでしょう。決勝トーナメントに突入した辺りからブレイクしてくれるのではないかと信じています。ヨルダン戦の不出来にも拘らず使い続けているザッケローニの期待に応えなければいけません。
ザック・ジャパンのメンバーは、西川、長友、内田、吉田、本田、香川、岡崎、細貝、李と北京五輪で予選3連敗を喫したメンバーです。ひ弱さを漂わせていた2年半前に比べると急速に成長し、逞しくなった感があります。寒風に晒された冬の華は、更に美しさを増すということでしょうか。2度咲きの十月桜は、3月下旬から4月上旬にかけてもう一度花を咲かせます。
その時は、艶やかな薄桃色の花を咲かせてくれることでしょう。楽しみです。

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