2011年1月8日土曜日

高校サッカー - 勝利の女神は2度微笑む

PK戦の際には、GKとキッカー以外の両チームの選手は、センターサークルの中にいなければなりません(写真右端)。わずか半径9.5mの円の中に隣合せで並んだ2つのチームが一瞬の後には、歓喜と失望に隔てられます。残酷なルールです。その瞬間、52.5m先のゴールの向こう側に何が見えるのでしょうか。そして、更にベンチ前で肩を組んで見守るリザーブの選手達(写真左下)。チームの気持ちが半径11cmのボールに凝縮される、本当に美しい瞬間でもあります。
第89回高校サッカー準決勝第一試合は、流通経済大柏対久御山。久御山の2点目は、シュートがDFに当たって絶妙なループとなってGKの頭を超えたものです。勝利の女神が久御山に微笑んだ瞬間でした。しかし、地力に勝る流経大柏がゲーム終了直前に追いつき、2対2でPK戦に。2人ずつ外した後、流経大柏の5人目のシュートが左ポストを叩いて、もう一度勝利の女神が微笑み、久御山が決勝への切符を手にしました。
第2試合の滝川第ニ対立正大淞南も0-0のままPK戦に突入しました。淞南は、終了間際のGKをかわして完全フリーのチャンスを逃し、勝利の女神の後ろ髪をつかみ損ねました。PK戦淞南の最初のキッカーのシュートはバーを叩き、PK失敗かと思われましたが、GKが先に動いたという判定に救われ、やり直しの結果、2度目は成功。勝利の女神は淞南に微笑んでいました。しかし、最後は、PK戦を9人目にまでもつれ込ませた滝川第二の執念が上回り、9人目のキッカーのボールが枠の外のドリンクボトルを弾き飛ばした時、淞南の夢が散りました。
心に傷を負う選手を出すPK戦への是非を問う声もあります。残酷なルールではありますが、個人の痛みをチームとして分かち合い、向き合っていくこともチームスポーツの素晴らしさのひとつです。PK戦を突破した近畿勢の2チームが、PK戦に泣いた2チームの想いを背負って、素晴らしい決勝戦を見せてくれることを期待しています。

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