2011年8月14日日曜日

人を愛するということ - 話題のタイのCM


明治安田生命のCMは小田和正の歌が流れるだけでウルっときてしまいますが、それを超えるCMをタイの生命保険会社が製作していました。この生保会社は、毎年感動的なCMを製作しており、数多くの賞を受賞しています。今回のCMは特にドラマ性が強く、わずか3分の映像ですが、長編映画を観終わった後のような深い感動と心のざわつきを覚えます。(YouTubeのアイコンをクリックして再生して下さい。タイ語の音声が流れますので、音量にはご注意下さい。初めての映像の貼付けです。)
聾唖の父親と思春期の娘の話です。母親は死別してしまったのか、父一人娘一人の家庭です。娘は学校で「聾唖者の娘」とからかわれ、いじめを受けます。手話で明るく話しかけようとする父親に娘は心を閉ざします。「普通の父親が欲しかった。私の話すことを聞いてくれる父親が欲しかった。」娘の誕生日の夜、バースデーケーキを前に娘へのメッセージを一生懸命練習する父親。部屋から出てこない娘を不審に思って部屋の扉を開けると、そこには自殺を図った娘の姿が・・・。手首を血で染めた娘を抱えて、街頭で言葉にならない叫びをあげている父親の姿は、余りに残酷で正視出来ません。彼は、電話で救急車を呼ぶことも出来ませんし、手話を解する人がいなければ、娘を助けて欲しいという必死の思いを伝えることも出来ません。CMの中では、娘は無事病院に運び込まれ、最後はハッピーエンドで終わるのですが、もし、手遅れになってしまっていたらと考えさせられました。それはAnother Storyですが、娘は父親の深い愛情を理解しないまま、この世を去ってしまうことになります。その時、父親は何を思い、何を恨むのでしょうか。人を愛することができるという人間の美性がはらむ余りの惨酷さ。しかし、結局はAnother Storyは起こらないのだと決めつけるのはナイーヴ過ぎるでしょうか。報われない愛はあっても、理解されない愛はないと信じたいのですが・・・。

0 件のコメント: