2011年4月10日日曜日

王仁塚の桜2011 - 桜と鉄塔

韮崎の王仁塚(わにづか)の桜を観に来ています(4月9日)。生憎の雨です。
王仁塚の桜は、日本武尊の王子武田王の墓(前方後円墳)=王仁塚に咲くヒガンザクラです。推定樹齢300年、幹周り3.6m、樹高17mの美しくも堂々たる一本桜です。開花状況に応じて花の色が濃い桃色から白色まで変化し、八分咲きの今回は鮮やかな桃色です。あと数日も経つと雪のように白い花びらを風に舞わせることになります。晴れた日には八ヶ岳を背景とした見事な雄姿を望むことが出来、多くのカメラマンが押し寄せます。カメラアングルの妨げになるのが、送電線と鉄塔です。私も素人カメラマンなりに、無粋な文明の利器を恨んでいたものでした。
今回、霧雨に濡れながらシェフパTが登山用コンロで調理するちゃんこ鍋をつついていると、我々の酔狂な雨中の観桜会を面白がって、地元の親父さんが近寄って来ました。お酒を勧めると、遠慮がちに受け取って、話しの輪に加わってくれました。「鉄塔さえなければ、いいのに」との愚痴に、こんな話をしてくれました。かつては、この辺りには王仁塚の桜のような一本桜が数本あったとのことです。しかし、周りが開発され、田畑に変わっていく中で、いずれの木も落雷により焼失してしまい、王仁塚の桜だけが残りました。送電線の鉄塔が避雷針代わりとなって、一本桜を護ってきたわけです。その話を聞いてからファインダーを覗いてみると、桜と鉄塔のツーショットもなかなか味わい深いものでした。

2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

ひぐっちゃん

桜を見ていると、東日本大震災が幻覚のように思えてきます。東北の方はどういう気持ちで桜を見ているのかと考えると胸が詰まる思いですね。

名波ジャパン10 さんのコメント...

桜は、年度初めの別れや旅立ちと重なります。だから、桜から思い起こされのは、ほろ苦い別れの記憶だったり、不安な思い。そんな人の心の揺れをよそに、桜は花をつけ、花を散らし、淡々と営みを繰り返します。人は、満開の桜に元気付けられたり、散る桜に訣別の勇気をもらったり。被災された方々の慰める言葉も無い悲しみを桜が癒してくれることは無いかもしれませんが、せめて桜の花を見上げることで目線が少しでも明日に向かってくれることを祈るばかりです。