2011年2月24日木曜日

Project青秋Fantasy - 第3章

乳頭温泉郷は、乳頭山の麓に位置し、8軒の宿が点在しています。300年以上前から湯治客が訪れていたということですが、「奥羽の山懐に抱かれた隠れ湯」と呼ぶに相応しい鄙びた佇まいの温泉郷です。湯巡りバスというのが予約制で巡回しており、今回は大釜温泉に宿泊し、蟹場(がにば)温泉、鶴の湯、妙乃湯を日帰り入浴で巡りました。
大釜温泉は、廃校となった小学校の木造校舎を移設して、そのまま宿にしたノスタルジー溢れる造りの温泉宿です。元の建物は、秋田大生の心中事件で焼失してしまったそうです。玄関脇には、二宮尊徳の小さな像が、雪に埋もれないようにと百葉箱のような小屋に収められていました。この像も一緒に移設されてきたのでしょうか。きりたんぽ鍋が絶品でした。蟹場温泉は、近くの沢に蟹が多くいたことに名前の由来があります。宿の裏口からの小径を50mほど行き、小さな橋を渡った所に緑灰色の湯を湛えた露天風呂があります。細々と聞こえるせせらぎの音が雪山に浸みこんでいくのもなかなか風情がありますが、やはり新緑か紅葉の頃がお薦めの深山の露天風呂です。妙乃湯は女性に人気の宿です。「渓流に佇むモダンジャパニーズ」のキャッチコピー、「黄金の湯」「銀の湯」のネーミング、クラッシック音楽の流れる内湯。訴求コンセプトの勝利というべきでしょうか。渓流を見下ろす露天風呂は、「まぁ普通」といったところですが、一度は泊まってみたい宿です。そして、やはりクライマックスは、鶴の湯。JR東日本の宣伝ポスターなどに再三使われる人気の温泉です。宿は茅葺き屋根の本陣跡。降り積もった雪に黒光りする建物がよく映えます。同一敷地内に白湯・黒湯・中の湯・滝の湯という4つの源泉が湧き出ており、5つの温泉があります。その中の一番人気は、何といっても、乳青色の「白湯」の混浴露天風呂(写真)です。隣の女性用露天風呂とつながっており、仕切り塀の木戸(写真中央の丸太の柱の奥)を開けて湯船に入ったまま女性が行き来出来る粋な計らいがなされています。脱衣所から湯船までが完全に女性専用のエリアとなっており、混浴の湯船も濁り湯の為お湯の中が見えず、女性にとって抵抗感の少ない混浴となっています。女性に人気の高い所以です。ここに来たら、是非とも味わって頂きたいのが、山の芋鍋。摩り下ろした山芋を団子に丸めて入れ、豚肉やきのこ・山菜などと一緒に自家製の味噌で煮込んだ鍋です。山芋団子のサクサクした食感、田舎味噌の濃厚な香り、山菜の素朴な味わい、これまた絶品です。
今回は、丸ごと温泉ガイドになってしまいました。これを読んで、乳頭温泉郷に行ってみたくなったとしたら、幸いです。脳みそのシワまでふやける、究極の癒しの里です。

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