2010年12月4日土曜日

銀杏の落ち葉を踏みしめて

銀杏の落ち葉の中を歩いていると、とても切ない気持ちになったりします。色々な幻想がとりとめもなく浮かんできたりします。そんな情景を書き留めてみました。あくまでフィクションです。
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君の車椅子が、微かに湿った銀杏の落ち葉の上を滑って行く。
僕は、わずかに上下動しながら揺れる君のポニーテールをじっと眺めている。
僕は、君について来てもらうのは厭だから、君の車椅子の轍の跡を踏みしめていく。1歩踏み出しては立ち止り、1歩踏み出しては立ち止り。
君は、押してもらう車椅子のスピードには馴染めないって言う。だから、君は、すっかり細くなった腕で車輪を漕いでいく。君のペースで。
僕はちゃんと君のすぐ後ろにいるよ。そう伝える為に、わざと枯れ葉を踏みしめて、乾いた音をたてたりする。

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