2011年10月10日月曜日

ベトナム戦 - テストマッチの意味合い

ベトナム戦、FIFAの区分けでは、International A Match - Friendly Matchということになります。A代表同士の公式親善試合であり、FIFA公認のタイトルには関係しない試合ながらも、FIFAランキング算定の対象となります。日本では、親善やFriendlyの語感が嫌われ、真剣勝負の意味合いを出す為に「代表テストマッチ」という言葉が使われたりします。
ベトナム戦は、テストマッチという言葉に相応しい内容でした。課題の3-4-3の布陣のテスト。藤本・細貝・原口・西川らサブ組のテスト。サブ組に関しては、藤本(写真右)も含め、それなりのアピールはしたものの、先発組への昇格を決定つけるパフォーマンスを見せることは出来ませんでした。むしろ、ピンボールのようなせわしないサッカーに終始し、チェンジオブペースやタメをもたらすことの出来る遠藤や本田の存在の大きさを逆に際立たせた感があります。
3-4-3は機能しませんでした。前線を厚くしながら、その分お互いにスペースを消しあって、攻撃の連動性が失われていました。ポジションがかぶっていたシーンも再三見られました。前線に張った香川は引いたポジションからバイタルエリアに飛びこんでいく持ち味を封印されていましたし、駒野は自らの居場所を見つけられずにいました。3-4-3は、両翼の厚みを増して、サイド突破から攻撃を仕掛けようというシステムですが、あまりにもその基本に忠実すぎて、サイドでノッキングを起こしていたり、肝心の中央が手薄になっていました。課題だらけでしたが、そのような課題を炙り出せるのがテストマッチ。十分意義があったと思います。さすが名将ザッケローニ、しっかりとしたチーム作りをしています。ただ、3-4-3については、選手達がそれぞれの所属チームに戻ると3バックシステムをほとんど経験できないという不安材料があるとともに、阿部・今野といったユーティリティプレーヤーが重用されがちになるという副作用があります。
さて、テストマッチという言葉ですが、ラグビーではフル代表同士の国際試合そのものの呼称であり、現在開催されているW杯もテストマッチということになります。もともと、英国が豪州・ニュージーランドなどの自治領と国際試合をする際に、力量を計るという意味で使ったことに由来しています。したがって、ラグビーファンに言わせると、サッカーで五輪代表の強化試合をU-22テストマッチなどというのは、明らかな誤用ということになる訳ですが、サッカーがラグビーと袂を分かってから既に150年近くになるのですから、言葉遣いが異なってきても当然であり、目くじらをたてる程では無いのでは?

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