2012年10月29日月曜日

Nanami's Eye - ザックジャパン5つの課題

元日本代表10番、名波浩。いまやセルジオ越後とのダブル解説が定番となり、中継の中で「ナナミ、・・・・。名波さん」と判を押したように、セルジオ越後から呼捨てにされた後、取ってつけたような「さん」づけをされて呼ばれています。しかし、解説の的確さは、セルジオ越後をはるかに凌ぐレベルに達しています。Sportiva Web版「名波浩の視点」でも、欧州遠征2連戦で浮かび上がってきたザックジャパンの課題を「世界に勝つために必要な『5箇条』」として、的確に判り易くまとめています。多少乱暴に要約すると以下のようになります。
 1.「ここで取りに行こう」「ここは止まっておこう」というメリハリのある守備
 2.攻撃時のボランチの豊富な運動量と決断力
 3.カウンターの際のスピードと判断の速さ
 4.シュートの意識
 5.時間帯によって変化をつけたサッカー
名波が提起したザックジャパンの課題について、考えてみました。まず、4つ目の課題として挙げられたシュートの意識は、以前からの課題ですが、最近は随分改善されてきたのではないでしょうか。自己犠牲が称賛される日本では(それが日本の強みでもありますが)、ゴール前でシュートよりパスを選択するFWや、前線からの守備に疲れ果てて、いざシュートという時にパワーが残っていないFWも評価されますが、欧州リーグでは、とにかくゴールという結果が全て。そんな環境でもまれた本田や岡崎、そして、香川は、シュートへの意識が飛躍的に高まり、それが代表全体に浸透しつつあります。
その他の課題は、「勇気ある決断」「判断の速さ」「変化をつけたゲームコントロール」というキーワードに集約できると思いますが、いずれも次元の高いテーマであり、これらが課題に挙げられていること自体に、名波が、日本代表の急速な成長と現代表のポテンシャリティの高さを評価していることが、示されています。
悩ましいのは、第2の課題として挙げられているボランチの攻撃力です。名波は、遠藤・長谷部のダブル・ボランチをブラジルのボランチ、パウリーニョとラミレスと比較していますが、むしろ、自らの現役時代と重ねて、理想のボランチ像をイメージしているのかもしれません。欧州の一流リーグでは、もはや守備的MF=ボランチという言葉は死語になろうとしています。中央スペースを上下動して守備・攻撃両面での起点となるという、サイドバックの中央版ともいうべき、セントラルMFが主流となりつつあります。このポジションは、なでしこでいえば、澤穂希ですが、サムライ・ブルーの場合人材を欠きます。遠藤・長谷部に今以上の運動量と攻撃力を望むのは酷でしょう。唯一可能性があるのは、本田のボランチへのコンバート。本田がジェラードをイメージしたプレーをし、遠藤が守備面でカバーすれば、中央のスペースが埋まります。両翼の内田、長友をハーフに上げ、香川トップ下、岡崎、前田のツートップという3-4-1-2の変形3-4-3の布陣は、世界と戦う為に完成させなければならないザックジャパンのオプションではないでしょうか。

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