
ただ、課題も見えてきました。ブンデスリーガで絶好調の清武と乾ですが、まだまだ世界レベルではないことは認めざるを得ません。アジアというモノサシではなく、世界というモノサシで測ることができたことが、今回の欧州遠征の大きな意義になりました。ハーフナー、清武、乾は残念ながら及第点に届かず。その意味で、佐藤寿人を試さなかったのが如何にも残念でなりません。課題として痛感したのは「ゴールに向かう姿勢」の差。ブラジルの先制点が象徴的でした。日本代表が細かいパス回しでブラジルDF陣を崩そうと四苦八苦していたところを、ブラジルは、日本DF陣を崩す手間など面倒とばかりにパウリーニョが25m近いトゥーキックでのミドルシュート。日本代表のレパートリーには入っていない攻撃パターンでした。日本代表の課題として、よく「決定力」という言葉が使われますが、そこに行きつく前の「崩し」に神経を集中する余り、肝心のシュートという「決定」的瞬間に集中力が散漫になってしまっている感があります。ゴール前のパスがひと手間多いという悪癖もこの「崩し」への過度のこだわりが原因だと思います。この「結果よりも過程」は日本人の特質ではありますが、この呪縛から抜け出すことが「決定力」を上げる重大な要因ではないかと思います。もうひとつ目立ったのが、同じパス回しでも、ブラジルのパスが7m前後での距離感なのに対して日本の場合には5m以内だという点。パススピード、精度という技術的な差によるものでしょうが、「守備はコンパクトに、攻撃はワイドに」がサッカーの基本。如何に攻撃の際のパス交換距離を広げ、相手守備陣の穴を広げていくかも、今後の課題でしょう。こうやって、課題を挙げていくと、本田(写真)は試合後「点差程のチーム力の差は無い」と語っていましたが、現段階では、結果的に妥当な点差だったのではないかと思っています。課題が見え、そして、日本代表は確実に成長を遂げていることが確認できました。ブラジル戦はザックの思惑通り、意義深い対戦となりました。世界はまだ遠いが、背中が見える距離にあります。
1 件のコメント:
あと、「緩急」と思います。ブラジルの、「スロー、スロー、クイック」、「クイック、スロー、クイック、クイック」のテンポに比べると、日本はいつも同じスピードだったように思います。選手一人ひとりの緩急もありますが、チームとしての緩急の取り方も、日本がもう一皮むけるための課題と痛感しました。
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