2012年8月19日日曜日

旅の終り - その2 U-23篇

若きSamurai Blue、U-23はメダルに届きませんでした。もともと、U-20 W杯への出場を2回連続で逃した「谷底の世代」(2009年権田・村松・永井、2011年酒井(高)・宇佐美)で、しかも、本来、絶対的エースとなるべき香川を欠き、OAも最強の補強といえないメンバーでは、ベスト4は望みうる最高の結果だったと思います。非常によくやったと評価すべきでしょう。しかし、3位決定戦で敗れた相手が、U-20 W杯への出場をアジア予選で2度とも阻まれた韓国だったのは、残念でなりません。3位決定戦の戦い方にも、苦手意識が随所に見受けられました。そして、韓国は、日本を飲んでかかっていました。この大舞台での敗戦が、この世代のライバル韓国への苦手意識を助長しないことを願うばかりです。
グループステージから準々決勝エジプト戦までは、日本の飛び道具、永井、齋藤、大津がその威力を如何なく発揮しました。世界を驚愕させたといっていいかもしれません。また、その飛び道具の射手となっていた清武は、英国の目の肥えた観客からも大きな称賛を浴びていました。エジプト戦で永井が負傷したのは、メダルを狙う上で大きな痛手でしたが、むしろ、それ以上に、日本の速攻を封じられたのが、準決勝・3位決定戦の敗因でした。メキシコ・韓国ともに試合巧者。日本の良さを消してきました。世界での経験の差が出ました。終盤は、ゲームの流れを変えられないまま、なす術なく、敗れてしまいました。2試合ともに、流れを引き寄せるべく投入された宇佐美・杉本は、見せ場を作ることも出来ませんでした。世界の壁を実感したのではないでしょうか。特に宇佐美は「ガンバ大阪の最高傑作」と称され、名門バイエルンミュンヘンに入団した逸材ですが、ベンチにも入れず試合から遠ざかっているせいか、試合勘以上に、チームでのコンビネーションを欠いていました。悔しさは判りますが、暗い表情が気になります。女子W杯の時の永里(現姓・大儀見)が重なります。彼には、技術的向上よりも人間的成長が必要ではないでしょうか。
「今、一番何がしたいですか?」五輪から帰国した選手達へのお決まりの質問ですが、多くの選手が「焼肉を食べたい」「お寿司を食べたい」と答える中で、なでしこの岩渕だけが「練習!」と一言。決勝で、GKと1対1になりながら決めきれなかったシュートが余程悔しかったのでしょう。U-23 もベスト4という十分称賛に値する結果ではありますが、選手達には最後の2連敗で世界に撥ね返された悔しさのみが残った五輪だと思います。U-23の選手全員が、岩渕と同じ気持ちを抱いたとしたら、今後の日本サッカーにとって、銅メダル以上に価値ある敗戦になるかもしれません。(写真はグループステージ第3戦ホンジュラス戦)

0 件のコメント: