2011年12月11日日曜日

FIFAクラブW杯準々決勝 - 攻め

FIFAクラブW杯が3年振りにUAEから日本に戻ってきました。開催国出場枠とともに。日本チームは2007年浦和レッズ、2008年ガンバ大阪と2年連続3位の栄冠に輝いたものの、ここ2年は大会出場を逃していました。Jリーグ王者柏レイソルは、中2日、8日間で3試合という厳しい日程にも拘わらず、見事な戦いぶりでした。PK戦での勝利は気迫で勝ち取ったもの。120分走り続けたことに対する、正当な報酬でした。前半は、モンテレイの分厚い攻めに押し込まれ、得意のカウンター攻撃を仕掛けることすら出来ませんでした。逆に攻め上がった守備陣の裏を狙われ、スピードに乗ったカウンターに再三ゴールを脅かされました。柏は体を投げ出しての守備でよく持ちこたえました。普通であれば、ハーフタイムの監督の指示は「よく守った。後半も守備を固めて、カウンターを狙え。必ずチャンスはくる」といったところでしょうが、ネルシーニョ監督は「何をビビっているんだ。もっと押し上げろ」とSBの橋本に怒気を込めた叱責。格上相手にこの無謀とも言える「攻め」の指示が、後半以降柏がゲームを支配し続けることに繋がりました。後半モンテレイの運動量が落ちることを見越しての指示だったとしたら、さすが名監督です。後半12分、わずか3本のパスでスアソにゴールを奪われしまったのは、攻めの姿勢がはらむ已むを得ない代償。それにしても、前半にみせたモンテレイの個人技の高さとスピード溢れる攻撃は、これぞ世界でした。柏もスピードが身上のチームですが、パス選択の速さとカウンター時の押上げの速さにはモンテレイに学ぶべき点が多々ありました。パス選択の速さは、いくつかのシナリオの中から最も可能性の高いオプションを選択する判断の速さに通じ、押上げの速さも、リスクとチャンスを瞬時に計算する判断の速さに通じます。要は、判断の速さ。判断の速さといっても、考える速さではなく、感じる速さ。これは、日頃のJリーグの戦いでチームとしての感覚を研ぎ澄ましていくしかありません。豊富な運動量では恐らく世界水準のJリーグ。次の課題はスピードです。
かつて、世界水準の判断のスピードを有していたJリーグチームがありました。名全盛期のジュビロ磐田。名波を服部、福西、奥、藤田という4人のタレントが囲むいわゆるN-Boxに、前線のゴン、タカが絡む緩急自在な多彩な攻めは華麗そのものでした。2001年第2回クラブW杯。ジュビロ磐田はアジア王者として出場予定でしたが、運営を委託されていたISL社の倒産で中止に。世界がまだまだ遠い時代でしたが、出場していたら、きっとサプライズを惹き起していたのにと今でも悔しく思っています。

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