2010年11月21日日曜日

回帰と新たな出立 - さよなら夏休み

「さよなら夏休み」という映画が12月3日まで新宿シネマートで上映されています。舞台は1977年の郡上八幡。多感な小学生のひと夏の思い出を描いた作品です。母親に捨てられ、郡上八幡のお寺に預けられた少年の担任教師への淡い恋心、そして、運命の不条理への直面。少年は苦い想いを胸に大人への階段を昇り始めます。小林要監督は、郡上八幡の美しい自然と郡上おどりの伝統文化を要所に散りばめながら、奇を衒うことなく、淡々と少年の夏休みの日々を描いていきます。小林監督は、幼稚園以来の私の幼馴染みです。「故郷」を愛おしみ、日本の原風景を愛し、前作の「アオグラ」(青森グラフティ)でも全編青森弁で60年代の青森とそこでの若者の青春を描いています。
今回、小林監督の中学時代の仲間で、舞台挨拶に駆けつけました。2週間前に高校時代の同窓会、1週間前は、大学時代の仲間と30年振りに再会したばかり。この1ヶ月は、さながらタイムトラベリング月間でした。最近、周りでも同窓会ばやりのようです。人恋しくなる年代なのかもしれませんが、そこには、「回帰」と「新たな出立」という人生の節目があるような気がします。中学から大学にかけての青春時代は、人生の原点でもあります。眼前に広がる果てしない人生の重圧に押し潰されそうになりながら、一緒に走り始めたあの頃。その原点から、社会へのゲートをくぐって、いつしかそれぞれの道に走り去っていった仲間達が、それぞれのロードレースを走り終えて、マラソンゲートから周回コースに戻ってきたというところでしょうか。まだレースは残っていますし、ラストスパートの苦しい局面もこれからです。ただ、みんなの足取りは昔のがむしゃらなペースと異なり、随分ゆったりとしながらも安定感のある力強いものに変わってきています。
「回帰」と「再スタート」は、小林監督の重要なテーマです(間違っていたらごめんなさい)。映画のラストシーンで、主人公たちは、支えてくれる仲間達とともに「やり直す」ことを誓います。今、仲間達と「原点」を確認しあって、もう一度並走を始めていくことに、幸せと心強さを感じています。

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