2010年9月4日土曜日

白地に赤く - 日本らしいサッカー

「♪白地に赤く 日の丸染めて ああ美しい 日本の旗は」
国粋主義とは無縁ですが、日の丸は本当に美しい意匠だと思います。白地に赤い円を描いただけの極めてシンプルなデザインに、仁と義という日本人の精神性が見事に表現されています。
日の丸は、熱い想いを内に秘めていることを表し、円は「和」を表現しています。まさに日本代表のメンタリティそのものでしょう。深紅を尊びながら、赤がこれ程似合わない国民はいないのではないでしょうか。お隣の韓国代表が赤いユニフォームで、燃える赤そのもののサッカーを繰り広げるのに対し、我が日本代表は青いユニフォームで静かに炎を燃やすプレースタイルです。「和を以て尊しとなす」という聖徳太子の言葉を引用するまでもなく、「和」は日本人の精神性の重要なキーワードです。「個」より、やはり、「和」なのです。
チームスポーツでは、高校野球により強く日本人のメンタリティが表れているように思えます。好チームとして評価されるのは、好投手を擁し、固い守備で、単打とバントでコツコツと点を重ねるチーム。いわゆる、鍛えられたチームです。1死3塁の場面ではホームランよりスクイズが好まれ、12対10の乱打戦よりは2-1の緊迫した投手戦の方が好まれるのです。メジャーの力対力の勝負に憧れながらもスモールベースボールという言葉にむしろ愛着と誇りを覚えてしまう。サッカーでも、攻撃的サッカーに憧れながらも、実は体を張った守りに痺れてしまい、耐えて耐えて守ってからのスピードに乗ったカウンターに堪らなく快感を感じてしまう。力道山のプロレス以来、耐えて耐えて守勢からの一瞬の反撃(例えば、吉村道明の回転エビ固めやアントニオ猪木の卍固め)が、日本人の好む勝負スタイルではないかと思うのです。
更に、チームワーク重視のプレースタイル。日本代表の規律性の高さは常々引合いに出されますが、南アW杯では、日本代表の献身的なプレー姿勢が高く評価されました。「個」より「和」を重視し、自己犠牲に美徳を見出す国民性は、平成の世になっても若い世代にまで受け継がれています。また、「柔よく剛を制す」の国技柔道の精神には、日本人のスポーツ観が適切に表現されています。組織を重視し、技を志向する日本人に向いたサッカーということになると、「人が動き、ボールも動く、コレクティブなパスサッカー」ということになります。正に、オシムが提唱したサッカーの日本化であり、岡田監督が目指したコンセプトです。ただ、そこに「スペインのような」とか「攻撃的サッカー」という異質の概念が紛れ込んでしまったところに、岡田ジャパンのチームコンセプトの変質が生じてしまったのだと思います。
組織力と技のパスサッカーを展開する為には、まずは、献身的な守備でボールを奪い、確実に攻撃の起点に繋げていく必要があります。守備的な戦いでの歯痒さはあったものの、岡田ジャパンの南アでの戦い方は、日本的な守備とは何かとの問いに「献身」という解を与えてくれたことで、大きな意義があったと思います。2日に公表されたFIFAの南アW杯総括報告書の日本代表の評価は、多少持ち上げ気味ながらも、日本の長所として「組織的な守備」「重圧下での安定した球さばき」「素晴らしいチーム精神」を挙げるなど、的確に分析をしています。イタリア人のザッケローニ監督がFIFAの分析を創り自らの眼で確かめ、アズーリとサムライブルーをどう混ぜ合わせて新たなジャパンブルーのカラーを出していくのか楽しみではあります。
日の丸の2番の歌詞は「♪青空高く 日の丸揚げて」で始まります。ブルーのユニフォームに映えて躍動する日の丸を期待しましょう。とりあえず、今日は、その第1歩のパラグアイ戦です。

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