2013年1月24日木曜日

Come Together ‐ The Endへの哀歌

年末放映されたロンドン五輪総集編の録画を見直していて、開会式でThe Beatlesの「Come Together」が演奏されたのに気が付きました。この曲は、スタジオ前の横断歩道を4人が渡っているカバージャケットがあまりに有名なアルバム「Abbey Road」の1曲目に収録されています。このアルバムは、1969年9月にリリースされました。その後「Let it be」が1970年5月にリリースされ、この「Let it be」がThe Beatlesのラストアルバムとなりました。しかし、「Let it be」の最終録音となった伝説のループトップ・コンサートが行われたのは1969年1月であり、「Abbey Road」の録音が行われたのは1969年7月ですから、実際は「Abbey Road」がThe Beatlesの製作した最後のアルバムということになります。
アルバム「Let it be」で、The Beatlesの末期的な状況を悲しんでいたPaulは、もう一度昔のようにやり直したいとの思いをこめて「Get Back」を歌っています。夢に出てきた母Maryの「Let it be(あるがままに受け入れなさい)」との啓示にもかかわらず・・・。「Abbey Road」の中には、このPaulの「Get Back」の呼びかけへの各メンバーからの返歌が散りばめられています。メンバーの仲を取り持つことにすっり疲れ果てたRingoは「Octopus' Garden」で「海の底にもぐって静かに暮らしたい」と歌っています。録音中にスタジオを飛び出してしまい数日戻ってこなかったGeorgeは、その時の思いを「Here comes the sun」で「It's beeen a long, cold, lonley winter」だけど「It's alright」と自らを励ましています。The Beatlesの解散にはオノ・ヨーコが大きくかかわっていると言われていますが、Johnは「I want you」で「She's so heavy」と歌い、The Beatlesよりもヨーコを選択することを宣言しています。そして、「Come Together」。John特有のサイケデリックな歌詞です。日本で発売された当時のレコードの歌詞カードには「対訳不可能」と書かれていたそうです。歌詞は4節に分かれており、それぞれThe Beatlesのメンバーについて歌ったものだという説があります。第1節で「Hair down to his knee(髪を膝まで伸ばした)」George(写真:かなり長髪)を「He just do what he please(好き勝手にやっている)」と切り捨てています。2節目で「He wear no shoeshime(裸足の)」Paul(写真:確かに1人だけ裸足)には「He shoot Coca-Cola (コカインをやって)」「He say "I know you, you know me"(お互い知った仲じゃないかというけど)」「One thing I can tell you is you got to be free(ひとつだけ言えることは自由になっていいよということ)」と突き放しています。第3節はJohn自身について「He got Ono sideboard he one spinal cracker(オノという食器棚と一緒に(交通事故で)背骨を傷めた)」Johnは「Hold you in his armchair you can feel his disease(肘掛け椅子でヨーコを抱く。ヨーコには彼のみじめさが判るだろう) 」と嘆いています。最終節はRingoということになります。「He got early warning(早くからグループ内の亀裂に警告を発し)」「 He got muddy water he one mojo filter(泥水の中でフィルター役になっていた)」Ringoは「 Got to be good-looking 'cause he's so hard to see(目立たない存在ゆえにカッコいい奴になった)」と多少持ち上げています。
難解なのは「Come together right now over me」のリフレイン。「みんな、また、俺と一緒にやろうぜ」という単純な訳では歌詞の流れと矛盾してしまいます。「Over me」がカギなのでしょうか。「俺を超えて」なのか「The Beatlesを超えて」なのか。そういえば、Johnの発する「シューッ」というガイドボーカルは、The Beatles Anthology 3のバージョンでははっきりと「Shoot me!」と聞こえるそうです。この言葉にJohnがどう様な思いを込めていたのか、今は知る由もありません。

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