2013年1月5日土曜日

2013年 ‐ 現実に向い合う長い道のり

年末に続いて映画「レ・ミゼラブル」を観ました。前回は、とにかく音楽に圧倒され、ストーリー展開や映像の細部にこだわる余裕がなかったので、今回はじっくり観ようと、ポップコーンも控えて臨みました。前回観終わって胸に残ったのは、感動を超えた「切なさ」。今回、登場人物それぞれを追うことで、その「切なさ」の正体が判りました。主要な登場人物の殆どが、その夢や希望を叶えることなく、命を失っていく物語なのです。そして、その他の名もないキャスト達は夢とか希望を抱くことさえも許されない境遇にあります。まさに、小学生の時に読んだ原作の邦題「あゝ無情」。全編にわたって流れる「I Dreamed a Dream」は、スーザン・ボイルのカバー曲で有名です。「夢やぶれて」と意訳されていますが、「夢をみていただけ」と訳した方が、その絶望感がより正しく表現されるように思えます。この曲が象徴しているように、救いようがない物語なのですが、最後は、舞台ミュージカルのフィナーレに倣って、登場人物がみんな生き返って力強く「民衆の歌」を合唱します。「♪夢見た明日は必ず来る」と。そして、昂揚感にくるまれた切なさを胸に映画館を後にする訳です。
元旦にも、同じ切なさを感じながら国立競技場を後にしました。2013年は、J2でもがきながらも、ACLでアジアチャンピオンを目指すガンバ大阪を期待していました。それが、天皇杯決勝での余りにも惨めな敗戦。ACLという夢を失い、ガンバ大阪は、J2での昇格を義務付けられた厳しい戦いという現実を直視し、1年を過ごすことになります。ガンバ残留を表明している遠藤(写真:天皇杯決勝、CKに向かう遠藤)と今野は、J2でのJ1昇格争いに心身ともに消耗しながら、W杯代表メンバーへの生残りというもうひとつの戦いをも勝ち抜いていかねばなりません。2人の代表落ちは想像しにくいかもしれませんが、J2で戦いながら代表でのコンディションを維持していくのは決して簡単なことではないと思います。レ・ミゼラブルの冒頭の曲「Look Down」のように足下のみを見据え、現実と向かい合っていく切ない戦いが続くのです。
ガンバの戦いは、2013年の日本を象徴しているようにも思えます。明日を楽観していた間に山積した問題に、今こそ向かい合わざるを得ない状況を日本は迎えています。現実を直視し、日々の戦いに専念し、着実に勝ち点を重ねている地道な長い道のり。眼前に伸びるぬかるんだ泥の坂道を上っていけるのか。日本人の真価が問われます。


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