2013年1月21日月曜日

敗者なき戦い ‐ 高校サッカー決勝戦

大雪の為1週間延期された高校サッカー選手権決勝戦は、1月19日グラウンドやスタンドの一部に雪が残る国立競技場で開催されました。出生地の宮崎と大学時代を過ごした京都という両方所縁のある県代表の戦いとなりましたが、今回は準決勝で魅せられたブラバンと仙頭君に惹かれて、京都橘の応援団席で観戦させてもらいました。試合は大方の予想通り攻撃力に勝る京都橘が押し気味にゲームを進め、仙頭君と小屋松君の絶妙なコンビネーションで鵬翔の鉄壁の守備陣を切り裂き、先取点と勝越し点を決めます。しかし、鵬翔は高さを活かしたセットプレーからのヘディングでのゴールと強引なドリブルからのPKで追いつきます。延長戦はさすがに両者ともに足が止まり、攻めに決め手を欠いたままホイッスル。決着はPK戦へ。PK戦では往々にしてヒーローが外したりするものです。米国W杯でのバッジオ、シドニー五輪での中田英・・・。今大会の得点王で最も輝いていた仙頭君が京都橘の最初のキッカーとして蹴りましたが、スピードを抑えて右隅を狙いすましたシュートは、無情にもポストに跳ね返され、PK失敗。もう数センチ内側であったら、ゴール内に跳ね返っていたであろう際どいボールでした。結局この失敗が両チーム唯一のPK失敗となり、優勝の栄冠は鵬翔へ。PK戦が続いた今大会を象徴する幕切れでした。センターサークルから勢いよく飛び出す鵬翔イレブン、その脇で膝から崩れ落ちる京都橘イレブン。PK戦の間は両チームのフィールドプレーヤーはセンターサークル内に留まらなければならないというルール故に繰り広げられるセンターサークル内のドラマです(写真)。
CKをゾーンで守る京都橘の陣形を見て全員で飛び込む戦術でゴールをもぎ取った鵬翔の執念、強引過ぎるほどのドリブルでゴールマウスに突き進んだ迫力も見事でした。そして、6試合中4試合をPK戦でしぶとく勝利し、栄冠を勝ち得たのは精神的強さがあってこそであり、讃えられるべきであると思います。但し、サッカーに技術点、芸術点があったならば、京都橘の圧勝。京都橘の美しいサッカーは敗者という言葉にそぐわないものでした。決勝戦は、延長戦で決着がつかない場合は両校優勝でいいのではないか。心からそう思った敗者なき決勝戦でした。

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