2009年7月19日日曜日

Oh Cecilia, I'm down on my knees

Old Friends Tourの名前通り、オープニングは「Old Friend -ブックエンドのテーマ」でしっとりと幕を開けました。ポールのソロギターの余韻が残る中、いきなりアップテンポな「冬の散歩道」へ。トップギアのまま「I am a rock」へなだれこみ、ローギアにギアチェンジして「America」へ。まさにS&Gの世界です。ポールのギターテクニックは健在ですし、声量も衰えていません。アートの方は、さすがに往年の「天使の歌声」は望むべくもありませんが、年輪を感じさせるしわがれ声もそれなりに味があります。アートの音程が下っている分だけ、全盛期のハーモニーとは異なりますが、40年の風雪にさらされた深みというのでしょうか、これぞ友人歴56年の「Old Friends」のハーモニーというのでしょうか、胸に滲みわたるものがありました。
「Scarborough Fair」、「Mrs. Robinson」、「El Condor Pasa」といった怒涛のヒットメドレーに続いて、ポールとアートのソロ・タイム。67歳シニア世代コンビの休憩タイムあるいはトイレ・タイムなのでしょう。ステージの2人よりは一回りほど若い平均年齢の観客も寄る年波の生理現象には勝てず、あちこちで席を立つ姿が見受けられました。ステージ最後の曲は、これしかない「Bridge over Troubled Water」。中学のクラスの卒業文集の題名が「明日に架ける橋」で、表紙にはあの鉄製の橋のイラストが描かれていました。「明日に架ける橋」という詩的な言葉にはそぐわない近代的な橋でしたが、無機質で圧倒的に文明的な橋の姿が、自分たちの明日を暗示しているような気がしたものでした。
アンコールは、ちゃんと残しておいた「The Sounds of Silence」「The Boxer」「Leaves that are green」。そして、最後は「Cecilia」。このパーカッションのリードで始まる曲は、一挙に盛り上げる為に、あるいはオープニングで使われるのではないかと予想していましたが、最後のフェアウエル・メッセージ曲となりました。かなり意味深な歌詞はさておいて、とにかく元気で派手な曲で締め括ってくれたことは、「S&Gはまだまだやれる。君たちも老け込まずに頑張ってね」というメッセージにも聞こえました。確かに、駅へと向かう道すがら、頬を紅潮させながら口ずさむ「Cecilia」には、何故か気持ちを高揚させる不思議な力強さがありました。「♪Oh Cecilia, I'm down on my knees, I'm begging you please to come home.」

0 件のコメント: