2009年5月5日火曜日

Philadelphia

米国からの帰りの機内で、豚インフルエンザ騒ぎの中マスクをしながら映画「マーリー」を観ました。「世界一おバカな犬」というおバカキャラブームに便乗(?)した映画です。話の筋はひどいし、マーリーのおバカぶりは単に躾けの出来ていない犬にすぎないし、映画としては「金と時間を返せ!」レベルでしたが、舞台が南フロリダからフィラデルフィアに移る最後のシーンには感慨深いものがありました。
もう15年も前のことになりますが、3年半ほど家族でフィラデルフィアに住んでいました。単身赴任中に探して見つけた家は築50年以上の石造りの家。窓が多くて大小様々なカーテンが必要な家でした。隅々までちゃんと見てから決めたつもりでしたが、いざ住んでみるとなんとバスタブがなく、シャワーのみでした。さすがに子供たちは湯船に入れてあげたくて、特大のゴミバケツを買ってきて、それにお湯をはってお風呂代わりにしました。子供たちがあまりに気持ちよさそうに入っているので、ある日膝を抱えて入ったところ、抜けなくなってしまい、出るに出れなくなったこともありました。
暖房は、セントラルヒーティングというと聞こえはいいのですが、地下室のボイラーは年代モノで、しょっちゅう故障していました。その度にサービスマンを呼ぶのですが、その日のうちに来たためしがありません。零下20度を超える極寒の中、家族4人毛布にくるまって夜を過ごしたものでした。引っ越してきて間も無くの頃、町の駐車場でいきなり窓ガラスを割られて車上荒しにあったり、結構散々な滑り出しだったのですが、家族の中で誰一人不平をいうことなく、「日本に帰りたい」と駄々をこねることもなく、文字通り「♪肩寄せ合って生きていた」(吉田拓郎「フキの唄」)幸せな日々でした。 (写真は、フィラデルフィア日本語補習校が開かれていた現地の私立校フレンズセントラルスクール)
フィラデルフィアは、白と灰色のモノトーンに彩られた長い冬の季節が終わり、若葉と花が一斉に芽吹く頃です。

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