2009年5月10日日曜日

Monet - Water Lilies

米国には三大美術館がいくつかあります。NYCのメトロポリタン美術館は第一番目にあげられますが、ボストンではボストン美術館が、ワシントンではナショナル・ギャラリーが、フィラデルフィアではフィラデルフィア美術館が、そして、シカゴではシカゴ美術館が2番目にあげられます。個人的にはNYCの近代美術館が最も好きですので、近代美術館・メトロポリタン・フィラデルフィアが個人的な三大美術館です。月並みではありますが、「印象派」ファンですので、印象派の作品の充実度からのランクです。印象派の中でも特にモネの睡蓮(写真はシカゴ美術館の睡蓮)が好きです。「光の画家」と呼ばれているモネの絵からは、日差しの強さ、方向、温かみまでが感じられ、移ろい行く一瞬が語りかけてきます。その意味では、俳句の世界に通じるところがあり、日本人がモネに魅かれる由縁かもしれません。
画家の生誕年と創作年から何歳の時の作品かを計算しながら絵を見るようになったのは、30代後半くらいからでしょうか。自分でも年齢と仕事の関係を意識し始めた頃からです。モネの睡蓮には年代による変化があります。モネが睡蓮を描き始めたのは50代になってからです。初期の睡蓮には、池の回りの柳や水草が丹念に描き込まれ、壮年のエネルギーと高い芸術性を感じさせます。還暦を越えた頃からのモネの睡蓮からは岸の風景が消え、水面だけのあの独特な構図(写真)となります。辿り着いた境地、極めきった精神美というものが、その作品を通じて不思議な安らぎと癒しを我々に与えてくれます。そして、白内障を患い、ほとんど視力を失ってしまった70代後半から86歳の晩年に至るまでの睡蓮は、荒々しいタッチと大胆な色使いの抽象画ともいえる作品となっています。気力・体力ともに衰えているはずなのに、作品からは、むしろ、芸術家の魂の叫びともいえるような鬼気迫るパワーが立ち上り、見る者を圧倒します。
晩年まで筆を加え続けたオランジュリー美術館の睡蓮の壁画は、モネの代名詞とも言える作品で、オランジュリーの「睡蓮の間」(昔旭化成のTVCMで放映されていました)はモネファンにとって聖地ともいえる場所ですが、モネはこの作品に満足しておらず、公開は自らの死後にすることを条件としたそうです。芸術とは難しいものです。「やれ、やれ」(村上春樹風、吉田拓郎「真夜中のタクシー」バージョン)

3 件のコメント:

Yako さんのコメント...

20年程前、まだ千葉市に住んでいた頃、ニュース番組で紹介されていた画家に衝撃を受けテレビ局に電話をし名前を確かめ→http://72.14.235.132/search?q=cache:RihAPgcrjMMJ:curry3092.portalnote.com/index.html+%E3%83%9B%E3%83%AF%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%84%E3%83%AA%E3%83%A3%E3%83%89&cd=1&hl=ja&ct=clnk ホワキントレンツリャドの展覧会に行ってから彼の大ファンになりました。 モネに通じる物を持ち、その躍動感ある作風が大好きです。惜しくもそれから数年後に若くしてなくなったので彼の年齢とともに変わっていく作風を見れずに凄く残念でした…。ブログに書かれている、”極めきった精神美というものが、その作品を通じて不思議な安らぎと癒しを我々に~気力・体力ともに衰えているはずなのに、作品からは、むしろ、芸術家の魂の叫びともいえるような鬼気迫るパワーが立ち上り、” を読み 唄歌いに通じる物を感じました。先日師匠からある歌手の映像をして http://www.youtube.com/watch?v=X_BYC1opLhI 教えられた ”歌の中心”・・・自分の魂を浄化し研ぎ澄まし聞いている人をも又そうさせれるような歌を”
絵の中にも唄の中にもそれを発する人はきっと座禅を組んでいる時の無の気持ちで居なければばならないのでしょう。年老いた歌い手としてそんな静かで気迫の篭ったパワーの出せる人になりたいです。
長文失礼しました。絵画と歌、通じる物を凄く感じでしまって…。

Yako さんのコメント...

あ、リャドはこちらのサイトの方が↓
http://item.rakuten.co.jp/galleria-prova/c/0000000100/
モネの深みとはまた違いますが…笑。

名波ジャパン10 さんのコメント...

Yakoさん
またまた素敵な書込み有難うございます。Yakoさんの行動範囲・行動力は相変わらずですね。リャドの絵拝見させて頂きました。確かに現代の印象派ですね。ただ、モネに比べるとスペインの画家だけに陰影のコントラストが強いように思えます。Sol y Sombra(光と影)ですね。サンバに繫がるところがあるのかもしれません。Yakoさんが魅かれる理由が判るような気がします。