2012年9月27日木曜日

Project M 前篇

Mさんとは不思議なご縁でした。会社の同僚ではありましたが、仕事上の繋がりはさほど深くなく、むしろ、アフター・ファイブでナイターテニスをしたり、B級グルメのお店巡りをしたり。日本酒を愛し、ワインにも詳しく、テニス、龍馬、拓郎など趣向が重なる部分が多い人でした。今にして思うと、本当に引出しの多い人で、趣味や話題を合わせてくれていたんだなと思います。いつも笑顔で、場を盛り上げるのが上手な人でした。友達を大事にし、そして、何よりも家族を愛した人でした。そんなMさんが不慮の事故で苗場山で他界したのが昨年の6月のことでした。
1年余を経て、ようやく追悼登山を実現することが出来ました。苗場山頂の山小屋で一泊し、降りしきる雨の中、細い九十九折れの山道を這うようにして下り、中腹の秘湯赤湯温泉へ。赤湯温泉の手前にサゴイ沢に架かる鉄橋があります。沢の上流がMさんが遭難した場所と推測され、その下流で追悼の祈りを奉げさせて頂きました(写真)。Mさんの愛した「亀泉CEL-24」は残念ながら手に入らず、代わりに同じ土佐のお酒「司牡丹 船中八策」を供えました。司牡丹もMさんが好んだお酒でしたし、龍馬ゆかりの船中八策ということで許してくれたんではないかと思います。どの酒蔵からも「ひやおろし」の出てくる季節ですが、亀泉は「CEL-24は冬まで熟成させないと本当の味にはならない」とのこだわりの下、12月まで寝かせてから出荷する為、この時期には手に入らないとのことでした。そんな言い訳に、Mさんの「おぉ~っ、それは仕方がない。冬まで待ちましょう」との声が聞こえてきそうでした。
いつしか雨はあがり、雲の切れ間から秋の高い空がのぞきます。ほどなく山道を下り、河原づたいの岩場を5分ほど行った所にMさんが目指し、辿り着くことの出来なかった赤湯温泉山口館がありました。(後篇に続く)

0 件のコメント: