2012年6月13日水曜日

豪州戦 - 大荒れの因縁の対決?

両チーム合わせて7枚のイエローカード、2名の退場者。データだけみると殺伐とした「大荒れの因縁の対決」が想像されますが、汚いファウルはなく、極めてクリーンなゲームでした。この好ゲームに水を差したのが、サウジアラビアのカリル・アルガムディ主審(写真)。厳しくファウルを取ることで有名なレフェリーで、南アフリカW杯のチリ対スイス戦では、9枚のイエローカードを出し、1人の一発レッド退場者を出しています。また、今年3月23日に等々力で行われた川崎F対メルボルンのAFCチャンピオンズリーグでも、同様にイエローカード9枚、レッドカード2枚という大荒れのゲームを作り出しています。カードが続くと、どうしても「お返し」のカードを出しがちであり(内田のPKファウル)、選手も観客も過剰にカードを要求しがちになります(栗原退場のファウル)。レフェリーが大荒れの試合を自己演出してしまう結果となってしまう訳です。
そもそも、サッカーの競技規則はわずか17条。200近い項目が規定されている野球に比べ、いかにも大雑把です。ルールは選手のフェアプレー精神とレフェリーの主観に大きく委ねられています。だからこそ、毎試合黄色のフェアプレーフラッグを掲げ、試合前には選手達がフラッグにサインしてフェアプレーを誓約するわけです。問題は、レフェリーの主観部分。往々にして厳格すぎるレフェリーはゲームを壊しがちです。アルガムディ主審はその典型例で、ロスタイムに本田にFKを蹴らせなかったのは、本人にすれば、時計通り笛を吹いた勇気あるジャッジだったのでしょうが、ゲームのクライマックスに幕を引いてしまい、ドラマチックなゲームを台無しにしてしまったのは明らかです。W杯で笛を吹いた位ですから、一流審判であることは間違いないのでしょうが、今後の再犯(?)防止の為にも、日本サッカー協会としては、今回のジャッジ(特に内田のファウル)への異議をFIFAに提訴すべきだと思います。(オジェック豪州代表監督も「内田のプレーはファウルには見えなかった」と試合後のインタビューで語っています。)
主審の問題はさておき、序盤押されっ放しだった流れを引き戻して、最終的にシュート数で15
(豪州)vs13(日本)のほぼ五分に持込み、ボールポゼションも56%に引き上げた日本代表の復元力は評価すべきだと思います。ただ、豪州クラスのフィジカルの強いチームにプレスを掛けられると、パスの精度が落ち、ミスも出てくるということが確認されました。また、自陣ペナルティエリア内の高さ対策も課題として残りました。印象的だったのは、試合後、ザッケローニ監督も選手達も審判の判定には一切言及していなかったこと。アジア杯での中東の笛からわずかの期間で随分大人の対応に成長していました。このチームは、まだまだ成長しそうな予感がします。9月の最終予選再開時にどのように進化しているか楽しみです。

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