2012年1月7日土曜日

市原にて ‐ 昭和の名残り

1月3日、初めての市原臨海競技場でした。ジェフ千葉のかつてのホーム。駅から徒歩30分、席が狭い、トラックでピッチまでが遠い、海風が寒い、トイレが少ないと悪条件だらけのスタジアムでしたが、スタンドの向こうに見える工場の風景には何とも言えない風情がありました。昔は、古河電工の工員さんが仕事帰りにビール片手にサッカー観戦を楽しんでいたんだろうなと想いを馳せてしまいます。Jリーグ開幕に合わせて大規模改修されたのは平成に入ってからですが、昭和の香りを留めたスタジアムです。市原市は、命名権を募集しておりますが、ジェフ千葉がホームスタジアムをフクダ電子アリーナに移したこともあり、応募する企業が無い状況です。
高校サッカー3回戦、清商vs市船を観戦しに遠路遥々2時間かけて出掛けてきたのですが、その意気込みの甲斐なく、清商は0‐3の惨敗。2回戦の6‐0の快勝が嘘のようなゲーム展開でした。清水らしいけれんみのない真っ直ぐなサッカーは、はまると素晴らしいサッカーを展開しますが、相手のペースになってしまうと立て直せないまま負けてしまいがち。高いレベルながらも同系統のチームが多いことと、どの高校もベテラン監督が多い為に選手に試合中の柔軟な対応力が備わりにくいのが原因。また、チーム戦術重視の風潮の中で、一人で打開し、流れを変えようとする強引な選手がいなくなりました。その点、市船は自らのコンパクトなサッカーを封印し、高い位置でのプレスを徹底しながら、最終ラインは無理して押し上げず、清商のスピードで裏をつく攻撃を見事に封じました。このシステムにより攻撃のレパートリーは減りますが、得点はセットプレーからと割り切った戦術でした。そして、先制点と2点目はプラン通り清商の168cmと小柄なGKの弱点をついたセットプレーからの得点でした。市船は準決勝でも3ボランチにシステム変更し、大分の強力な攻撃力を封じています。魅力には欠けますが、勝つための大人のサッカーを見せられました。
ピッチ内では、サッカー王国静岡代表の面目を施すことは出来ませんでしたが、観客席はさすがでした。今回は、清商の試合がいずれも第2試合だったので、他校の応援席で3試合観戦させてもらいました。他校の父兄応援席は、いわゆるSoccer Mom中心で、攻撃時は「頑張れー」「入れてー」、ピンチの際は「キャー」「ヤメテェー」の連呼でした。清商の父兄席は至って冷静。「何やってんだか。だめだよぉ、前ばっか急いでも」「今日は周りが見えてないらぁ」はどうみても70代のお婆ちゃんのつぶやき。敗戦にも「しかたないらぁ。市船の方がいいサッカーやってたさぁ」サッカー処、清水は健在でした。これも昭和の名残りです。

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