2010年5月20日木曜日

欧州流サッカー談議

金子達仁と木崎伸也の師弟コンビがW杯の展望を語る有料セミナーに参加してきました。金子達仁はバルセロナ移住経験のある流浪のフリーライター。弟子でもある木崎伸也もオランダに移住していた理論派サッカーライターです。2人の共通点は欧州派であること。そして、ヨハン・クライフが2人をつなぐ重要なキーワードとなっています。
今回のセミナーは、「サッカーはビジネスマンの教養である」という東洋経済新報社の称賛に値する見識から開催されたものです。まずは、理論派木崎が日本の予選リーグ突破確率を、コンピュータのシミュレーションから紹介します。これまでの戦績データを基に1,000回の仮想対戦をさせた結果、突破確率は、オランダ79.8%、デンマーク49.5%、日本38.5%、カメルーン32.3%。数字的には、オランダの突破はほぼ確実で、他の3チームは時の運といったところです。しかし、この楽観論を金子はバッサリ切り捨てます。「対戦相手との相対論でW杯史上最弱の日本代表は、木端微塵に負けます。その方がいい」と断言し、「岡田監督を解任出来なかったのは、サッカー協会の仲良しグループ体質によるもの。苦しい時代を支えてきた仲間同士、お互いに厳しくなれない。サッカー協会の体質改善には、この際、惨敗した方がいい。外国人を代表監督として招聘するだけではなく、サッカー協会の中枢ポストに外国人を据えるべき」と熱く語ります。「あまりにも惨めな負け方では、日本サッカー冬の時代に突入してしまうのでは」と危惧を述べる質問をすると、「代表だけがサッカーではない。逆に関心が地元のチームに移った方がいい」と如何にも欧州流の切返し。「サポーターとして今出来ることは何か」との質問には、「とにかくミスに対してブーイングをし、怒ること。ドイツW杯クロアチア戦でイージーなシュートをはずした柳沢を育てたのは、シュートミスしても名前を連呼してきたサポーター」と、日本サッカーにはどこまでも手厳しい言葉が続きます。
今の岡田監督は暗中模索の状況ではないかということです。昨年のオランダ遠征まではチーム作りは比較的順調だったが、そこでシーズンオフに入り、それまでの流れがプツリと切れてしまった。アーリークロスが戦術のキーワードだったのが、その戦術で東アジア選手権以降勝てなくなって、迷いが出てきた。今はどうしていいか判らない状況、との分析です。確かに、本来、攻撃的戦法のキーマンとなるはずだった石川や田中(達)をはずして、岩政や矢野といった高さで守備に貢献出来る選手を23人に入れたのは守備的戦法に舵を切ったことの表れのように思えます。
その他、「日本サッカー協会の育成システムが出来てからすごい選手が出てこなくなった」等々欧州流のサッカー分析には随分うならされました。「ブッフバルトを次期代表監督にとの騒動は、犬飼会長の完全な独走」などの裏話も披露され、濃厚な2時間でした。スーパー・ルーニーさんやスーパー・ハセさん等を招いての私的日本流サッカー談議は6月1日開催を予定しています。結果は、ブログで紹介させて頂きます。(写真は、金子達仁の名著「28年目のハーフタイム」と木崎伸也の近著「サッカーの見方は1日で変えられる」(目から鱗のお薦めの1冊です)。

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