2010年4月7日水曜日

花に嵐 - セルビア戦

今回来日したセルビア代表は、主力を欠くサブメンバーチーム。あるいは、日本代表に立ち込めている暗雲を吹き飛ばすような快勝もありうるのではという淡い期待もなかった訳ではありません。しかしながら、セルビアは旧ユーゴスラビアの流れを汲む欧州の強豪国です。FIFAランキング15位は伊達ではありませんでした。世界の強豪国と戦うとこうなるという絶好のシミュレーション・ゲームとなりました。
岡田ジャパンの目指すサッカーは、DFラインを高く保ち、前線からプレスをかけていく攻撃的サッカー。W杯ベスト4を目指す上では、チャレンジしなければならないサッカースタイルです。相撲でいえば主導権を取ったまま相手を押し出してしまう突っ張り相撲。アジアではある程度通用しても、世界の強豪国を相手にすると、突っ張らせておいて、隙をみて、もろ差しからいとも簡単にうっちゃってしまうという与し易いスタイルであるとの現実をまざまざと見せつけられたゲームでした。前半キックオフ直後が象徴的でした。日本代表はキックオフから約3分間相手にボールを奪われることなく、ボールを回し続けました。心地よい時間帯でしたが、ゴールの匂いはせず、相手には何ら脅威を与えていなかったのではないかと思います。楢崎のファインセーブでゴールにこそならなかったものの、セルビアに縦パス1本で決定的シュートを打たれたのはその直後でした。日本代表が小刻みに突っ張りを繰り出し、一見、押し込んでいるように見えても、セルビア代表は土俵際に追い詰められたふりをしながら、余裕たっぷりでうっちゃりの機会を虎視眈々と狙っているという図でしょうか。
これまで、岡田監督のW杯ベスト4(のサッカー)を目指すという志を、日本サッカー成長の通過点として、支持してきたつもりですが、ここに至っては撤回せざるを得ません。攻撃的サッカーを支持する前提は、あくまで、W杯でスリリングなゲームをして、華々しく散る(あわよくば勝利する)ことが可能だということです。このままでは、今日のセルビア戦を3試合繰り返すだけで終わってしまうでしょう。根本的な戦略転換が必要です。場合によっては3バック、3ボランチの布陣で守備的に戦い、石川、岡崎の裏に抜ける動きで数少ない得点機を窺うという戦い方ではじめて試合らしい試合になるというのが、今の日本代表の限界であることを認めざるを得ないのではないでしょうか。この戦い方は岡田監督としては、受け入れられるものではないでしょう。であれば、協会としては、決断を下さざるを得ません。「現時点での監督交代はリスクが大きすぎる」などと言ってはおれないことはハッキリしました。ここはオリヴェイラ鹿島監督の兼任監督しかないでしょう。
春の嵐で目を覚まさせてくれたセルビア代表に感謝したいと思います。岡田監督は解任を恥じることはありません。高い志は称賛されるべきですが、選手に恵まれなかったということでしょう。桜のような潔い散り方を期待します。

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