2014年7月21日月曜日

ブラジルW杯 - 世界との距離

前回のブログで、スペインの敗退の原因を①世界のサッカーの進化、②「自分たちのサッカー」を封印してまで相手に「自分たちのサッカー」をさせないせめぎ合い、③「自分たちのサッカー」へのこだわりがチームの崩壊につながるという3点に集約してみました。実は、この3点こそ、日本代表惨敗のキーワードではないかと思うのです。それぞれのキーワードに沿って、日本代表の課題を考えてみたいと思います。まずは、「世界のサッカーの進化」。
写真はピンボケですが、試合後サルバドール空港の特別通路を足早に去っていくデル・ボスケ監督です。よもやのグループリーグ敗退は、主力の不調、気候条件の良いキャンプ地での熱暑順応の失敗の他に、スペインのポゼションサッカーの停滞があったと思います。2008年のEuro優勝、2010年南アW杯制覇と無敵艦隊の時代が続く中でドイツ更にはイタリアまでパスサッカーを標榜するようになりました。ただ、模倣するだけでは、オリジナルを超えることはできません。強豪国は、各国とも、ポゼションサッカーのエッセンスを付加しながらも、その対策を綿密に組み上げていました。世界は常に先を目指しているということです。その中で日本は周回遅れでスペインサッカーを追いかけていた訳です。オランダは5バックの奇策でサイドのスペースを消してきました。また、ファン・ペルシを1トップとして残し、中盤を厚くして、スペインの縦パスの出処を抑え、スペインにサッカーをさせませんでした。一方、攻守の素早い切替えで長短のパスを織り交ぜたオランダの攻撃は見事でした。コートジボアールの戦法はより単純でした。オーリエとジェルビーニョの右サイドを高い位置に保って、日本の長友、香川の左サイドからの攻撃に蓋をし、本田にボールが預けられた瞬間に3人で寄せてボールを奪い、ショートカウンターにつなげる。日本代表は「自分たちのサッカー」の片鱗も見せることなく、敗れ去りました。
初戦で歯車が狂った日本は、なすすべもなく1勝も出来ずにブラジルを去ることになるのですが、日本のみならず、韓国・豪州・イランのアジア勢いずれも1勝も出来ませんでした。アジアと世界との差が広がりつつあると考えざるを得ません。世界のサッカーの進化は加速しており、アジアはその進化から取り残されているのではないか。公式戦の殆どをそのアジアで戦わざるをえず、アジアの中ではアジアの盟主として「自分たちのサッカー」で戦い、最近は強豪国との対戦でも「自分たちのサッカー」を貫く戦い方をしており、これでは、世界を体感しようがありません。親善試合でお互いのサッカーを披露しあっているだけでは、真の世界のサッカーを引き出すことは出来ないのです。「自分たちのサッカー」へのこだわりと「頂点を目指す」という志の副作用である根拠のない自信が、日本代表を世界の高みに導くどころか、世界から遠ざけたのではないでしょうか。

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