2013年2月11日月曜日

Made in Japan - 小樽にて

NHKのTVドラマ「メイド・イン・ジャパン」は見ごたえのあるドラマでした。欲をいうならば、3話完結にせず、せめて1シーズン12回の連続ドラマとし、もう少し時間をかけてじっくりと見せる展開にして欲しかったということでしょうか。日本のモノづくりとは何だったのか、メイド・イン・ジャパンの凋落は何故起こったのか、今や日本の市場から脅威へ変貌した中国とどのように向き合っていくべきなのか。色々考えさせられたドラマでした。場面場面に散りばめられた昭和の香りも郷愁を誘ってくれました。太田裕美の歌う「タクミ電機社歌」。舌足らずの歌声、懐かしく耳に残りました。
ところで、この週末、小樽に行って来ました。小樽運河の南に広がる石造りの倉庫群は、おしゃれなガラス細工やオルゴール工芸のお店に生まれ変わり、女性に人気の高い観光スポットとなっています。写真は、その街並みの中心に位置するメルヘン交差点に立つ高さ5.5mの蒸気時計です。15分おきに汽笛で時を告げます。後ろの煉瓦造りの建物は小樽オルゴール堂。店内には無数のオルゴールが並び、繊細な音色を奏でていました。メルヘン交差点の北側には北一硝子直営のガラス細工店、地酒店、カフェなどが軒を並べています。北一硝子は1901年創業の老舗で、もともとは石油ランプのメーカーです。今でもランプの製造は続けており、電気の通じていない秘湯の宿や山小屋ではお馴染みのブランドです。現在では、高級グラスからアクセサリー、ステンドグラスなどのインテリアまで様々なガラス製品を製造・販売しています。北一硝子のグラスはすべて職人の手作りで、一つ一つが微妙に色合いが異なり、その匠の技は感嘆のため息を誘います。オルゴールにせよ、ガラス細工にせよ、メイド・イン・ジャパンの根底にある職人の「美と品質へのこだわり」を感じさせます。また、この小樽という観光スポットそのものが、100年以上前の歴史と伝統の建造物の中に最先端の技術やセンスを綺麗に収めたメイド・イン・ジャパンの神髄を感じさせます。小樽では、欧米やアジア諸国からの多くの旅行客を見かけました。彼らにとって小樽はとても居心地の良い「日本らしい日本」なのでしょう。今回訪れた札幌、定山渓、小樽。どの土地の人達も、とても親切でした。「Hospitality=おもてなし、一期一会」の心もメイド・イン・ジャパンです。
実は、小樽オルゴール堂は、親会社のブルーハウスがバブル崩壊後の経済不況の中で1997年自己破産した際、連鎖倒産をしましたが、存続を望む多くのファンの後押しを受けて、会社更生法の下再建を果たしたという歴史があります。失われた20年間、日本はコスト競争に身を擦り減らせてきましたが、日本の職人の美や品質へのこだわり、そして、日本人のHospitalityこそ、世界に通用し、世界で求められているものなのではないでしょうか。メイド・イン・ジャパン復活のヒントを小樽で垣間見たような気がします。

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