2013年2月17日日曜日

拓郎 「雪」

鹿児島生まれ、広島育ちの吉田拓郎だけに、雪の歌は多くはありません。ただ、以前ブログで取り上げた「外は白い雪の夜」(クリックでリンク)は、拓郎ファンの中で1、2の人気を争う名曲ですし、フォークグループ「猫」に書き下ろした「雪」も如何にも拓郎らしい余韻が残る名曲です。この曲に関しては、オールナイトニッポンGoldの中で拓郎自身「これこそがラブソングだ」と自画自賛しておりました。恋心とは胸が切なく痛むものであり、そのどうしようもない切なさを歌うのがラブソングだと。最近のラブソングは、「いつも君の傍にいてあげるから」とか「君を支えてあげるよ」といった妙に冷静に愛を歌い上げるものばかりだと嘆いていました。そして、そんな「愛」の歌は、どんなに頑張っても、Simon & Garfunkleの「明日に架ける橋」を絶対に超えられないんだと。
「♫雪でした あなたのあとを なんとなく ついて行きたかった 振り向いた あなたの瞳は 早くお帰り 坊やって言ってた」
この歌にはモデルがいたそうです。デビューしたての拓郎が、地方ラジオ局の番組にゲストとして出演した際、番組終了後居酒屋で女性ディレクターと二人で酒を酌み交わしながら、将来の夢を熱く語ったそうです。お店を出ると外は一面の雪。そのほのかな雪明りの中を彼女は歩いて遠ざかっていきます。その背中を見ながら、急にこみあげてくる切ない思い。拓郎は、追いかけていって背中から抱きすくめたい衝動を必死で抑えます。「♫雪国の 小さな街に そんなわたしの 思い出がある」
写真は、先日訪れた北海道定山渓温泉の神社で行われていた雪灯路です。神社の境内に2,000の雪灯が燈され、幻想的な世界を創り出していました。すべてのものを白く包み込んでしまう雪は、まるで過去の日々を覆いつくし、消し去ってしまおうとする残酷な時の流れのようです。雪灯はかすかな記憶の中に切なく灯る思い出。「♫夢でしょうか あの日のことは 雪を見るたびに 思い出す」

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