2012年4月4日水曜日

セルジオ越後の辛口比較文化論

セルジオ越後、元プロサッカー選手、現「辛口」サッカー評論家。日系二世のブラジル人。18歳で名門コリンチャンスにテスト入団するも、23歳で一時現役引退。その後、当時社会人リーグ(JSL)に所属していた藤和不動産(現・湘南ベルマーレ)の誘いで来日。2年間の在籍期間で40試合出場6ゴール。引退後は、少年サッカー教室を全国各地で開催し、延べ50万人以上の少年少女を指導しています。4月2日、そのセルジオ越後のトークライブに参加してきました。テーマは写真の通り。相変わらずの辛口で、それぞれの日本代表を切り刻みます。まず、なでしこ。前日の米国戦を両チームともコンディションが悪く、お互いミスだらけの凡戦とバッサリ。米国のワンバックに至っては「体のキレを失い、『普通のオバサン』だった。」「なでしこはやはり沢の不在が大きい。代役の宮間は良かったが、左サイドでしか機能していない。中央でタメを作り、守備と攻撃のスイッチ役になっていた沢とはそこが違う。それに宮間の場合背が低い為守備に不安が残る。」U-23については、当然オーバーエイジ枠を使うべきだと。一押しは闘莉王。彼が入れば、怖い兄貴が来てチームに緊張感が生まれるし、競争意識を煽ることになる。ちなみに注目の香川は、「五輪とW杯予選両方への召集につき所属クラブの了承を得ることは難しいので、日本サッカー協会はW杯予選を優先するだろうから、五輪メンバーには選出されないだろう。」(サッカーキング岩本氏)ということです。そして、A代表(セルジオ的には「全日本」)。「強い相手とやっておらず、いきなり最終予選というのはかなり心配。遠藤が良くないが、その後継者が育っていない。遠藤が復調しないと、かなり危ない。」
といった具合に、面白いサッカー分析が聞けたのですが、それ以上に興味深かったのが、彼が語る日本社会批判。彼の批判の中心は日本の学歴重視社会とアマチュアリズム。「尾崎が三菱重工を辞めてドイツに渡ったのは、三菱重工サッカー部にいる限り、給料は大卒の補欠選手の方が上だったから。」「カズがブラジルで成功したのは、日本に帰っても高校中退では就職先がないので、必死だったから。」「日本人のアスリートには自営業の子供が多い。将来の職場が確保されている子供しか安心してスポーツに打ち込めない。」「関塚監督は何のノルマも課せられていない期間契約。報酬も安い代わりに責任もない。そもそも雇い主の日本サッカー協会がプロ意識に欠け、甘過ぎる。」等々。彼自身東京五輪のブラジル代表候補に選出されながら、五輪出場の栄誉を捨てて、プロ契約を締結。しかし、プロ選手でも金を稼げるのはごく一握りで、引退後の生活の保障がないことを知り、23歳で引退。藤和不動産のオファーを受けたのも、仕事を覚えながらサッカーが出来ると考えたからです。プロの厳しさを知っており、自らプロとアマチュアの間を行き来した経験から、日本の現在のプロ意識の低さ、甘さがもどかしく、我慢ならないのでしょう。そんな背景を念頭に置いて、彼の辛口解説を聞いてみると、また、味わいが変ってくるのではないでしょうか。

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