2009年8月22日土曜日

リンゴ - 僕らの時代再考

オールナイトニッポン特番「わが青春の吉田拓郎」が終わりました。月~木の4日間は拓郎の広報部長を自称するアルフィーの坂崎幸之助、最終日はムッシュ・カマヤツがパーソナリティを務めていました。
さすがに、拓郎オタクの坂崎。色々な裏話が紹介されました。「結婚しようよ」には「椅子叩き」というパートがあることを知りました。スタジオの中の色んなモノを叩いて、結局、プラスチックの椅子が楽器に採用されたそうです。確かに曲を聴いてみると「ポコポコ」というくぐもった音がパーカッションのアクセントになっています。レコード大賞曲「襟裳岬」は、酒の席で「森進一か都はるみの曲を書きたい」という拓郎の軽口を憶えていたディレクターが、演歌に行き詰まり、変身を考えていた森進一に橋渡ししたことから生まれました。森進一の襟裳岬を聞いた拓郎は「さすがにうまいね」と感心していたとか。
番組では、拓郎が高校時代に作った「準ちゃん」という歌も紹介されていました。拓郎が初恋の人に贈った曲ですが、橋幸夫と吉永小百合のデュエット曲「いつでも夢を」をもっと昭和っぽくアレンジしたような赤面もののラブソングです。「僕には夢がある。君にも夢がある。それだけでいいじゃないか。」という間奏のセリフだけが拓郎っぽさを感じさせています。この音源は拓郎自身が番組に送ってきたもので、拓郎も昔を懐かしむ歳になったのかと感慨深いものがありました。
記憶の堰が一挙に崩壊したのが「リンゴ」。題名だけでは曲が浮かんでこなかったのですが、イントロが始まるとともに無意識に歌詞が口をついて出てきました。「♪ひとつのリンゴを君がふたつに切る 僕の方が少し大きく切ってある」「♪このリンゴは昨日二人で買ったもの 僕の方がお金を出しておつりは君がもらって」作詞は岡本おさみ。拓郎とのコンビでは、「襟裳岬」「落陽」「旅の宿」などを作詞しています。「リンゴ」は、文字通り甘酸っぱい想いを呼び起こすとても不思議な曲です。拓郎には似合わない四畳半フォークなのですが・・・。
僕らが「リンゴ世代」だからなのかもしれません。子供の頃バナナはまだ高級果物で、塩水に浸したリンゴが最高級のおやつでした。おろし金ですりおろしたリンゴは風邪で寝込んだ時の定番でした。ビートルズのアップルレコードに、アップルコンピューター。判る人には判る「麻田奈美のリンゴ(平凡パンチ)」もありました。TVドラマ「ふぞろいの林檎たち」にも何故か共感を覚えずにはいられませんでした。 実は、一昨日、約30年前にテニスを一緒にしていたリンゴ世代の仲間の集まりがありました。30年の歳月で、それぞれ随分変わっているはずだし、お互いに随分遠く離れたところにいるはずなのに、集まってみるとそれぞれのキャラクターや仲間での役割はあの時のまま。30年前のあのいい時代にタイムスリップしていました。それぞれつらい日々もあったと思いますが、こうして集まれること、そして、30年前の屈託の無い笑顔に戻れるということは、結局、みんな、今の「幸福」を素直に受け留められる心境に辿り着いたということなのでしょう。「♪リンゴを強く齧る 甘い汁が唇をぬらす 左の頬を君はぷくんとふくらませて 欲張ってほおばると ほらほら話せなくなっちまうだろう」みんな本当にいい顔をしていました。また、会おうね。

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