2013年9月1日日曜日

Project 青い秘密 - 岩木山編

岩木山は、青森県最高峰、津軽平野のどこからでも眺めることのできる嫋やかで美しい山です。太宰治は、その姿を「十二単を広げた美女」に例えています。昔から山岳信仰の対象となっており、「お山」と呼ばれて、津軽の人々に崇められている山でもあります。7月7日、その岩木山9合目。昨日までの悪天候が嘘のように晴れわたった青空に向かって、鳳鳴ヒュッテからの岩場の坂道を、登山客が連なるように上っていきます(写真)。鳳鳴ヒュッテ前でカレーを作りながら待つこと1時間。未だ別働隊の姿は見えません。岩木山への登山で最もお手軽なのは、岩木スカイラインを車で8合目まで登り、そこからリフトで更に9合目まで登り、最後の山頂までの登山道を徒歩で約40分程度で登るというものです。さすがにリフトの利用は憚られ、8合目の駐車場から湿度の高い樹林帯を汗にまみれて1時間ほど登って、9合目の鳳鳴ヒュッテまで辿り着きました。カレーを煮込んで、N隊長の率いる百沢ルート(約4時間の行程)アタック隊を待つことにしました。カレーの具は、南三陸の家庭菜園で頂いたばかりの採り立てのジャガイモ、タマネギ、ニンジンです。震災直後、断水で困っていたお宅の水運びをドクターKがボランティアで手伝って以来、手紙でのやり取りをしていた老夫妻を、今回の被災地巡りの途中再訪した際に頂いたものです。ご夫婦のお宅が位置する高台の下では、モアイ像に見守られて南三陸の仮設商店街が復興の第一歩を踏み出していた一方で、周りには住宅跡地の空き地が目立っていました。
さて、待つこと1時間半。カレーが煮詰まり始めた頃、ようやく別働隊が到着しました。途中で雪渓を登らざるを得ない箇所があり、難渋したとのことでした。疲れ切った身体には、南三陸で頂いたキュウリが心地よかったと思います。一緒に頂いた味噌との相性も抜群でしたし、味噌はカレーの隠し味にも使わせて頂きました。「青い秘密」です。
東北の震災地は、2年余を経ても、未だ復興への道筋も見えない状況でしたが、被災地の人々が、いや日本国民全体が、写真のように坂の上に浮かぶひとひらの雲を見据えつつ、厳しい坂道を登り始める日が来ることを切に願っています。

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